Metaは、同社の最も高価なヘッドセットであるMeta Quest Proの販売終了を発表した。発売直後から価格を大幅に引き下げていたが、ついに市場から完全に撤退する形となった。これにより、Appleが次期Vision製品をリリースする際、非プロユーザー向けの価格圧力が増す可能性がある。
Meta Quest Proが公式に販売終了
Metaは、2024年9月、同社の高級VRヘッドセット「Meta Quest Pro」の販売を公式に終了すると発表した。発売後わずか数か月で価格を1,499ドルから999ドルに引き下げたものの、販売不振により、最終的には市場から撤退する決断に至った。Metaが先に発表した、さらに高価な「Vision Pro」の競合製品の開発中止も、この決定に影響を与えたとみられる。
Quest Proは、もともとプロフェッショナルやエンタープライズ向けに設計された高機能ヘッドセットであったが、その高額な価格が一般消費者層には受け入れられなかった。販売終了の発表に伴い、Metaは残りの在庫を年内、または在庫が無くなるまで販売する方針を示している。
Metaの決定は、高価格帯のVR市場における競争の激化と、消費者のニーズに合わない製品価格設定が要因となった可能性が高い。
Quest Proの価格とレビューの賛否両論
Quest Proは、その発売当初から価格に対して多くの批判を浴びていた。1,499ドルという価格は、レビューサイトから「一部の企業向け以外には高すぎる」という評価を受け、特にバッテリー寿命の短さと価格に対する性能不足が指摘されていた。しかし、一方でグラフィックスの鮮明さや操作性、実務に役立つ点は高く評価されていた。
価格が999ドルに引き下げられてからも、レビューの評価は改善したが、それでも500ドル台のQuest 3との価格差を正当化するのは難しいとする意見が多かった。Quest Proは、あくまで一部の企業やエグゼクティブ向けに特化した製品であり、一般消費者には手が届きにくい製品であったことは否定できない。
そのため、Metaが一般ユーザー向けのVR製品で競争を優位に進めるためには、価格設定の見直しが急務であった。
Apple Visionの新製品に対する市場の変化
Metaが高価格帯のQuest Proを市場から撤退させたことで、Appleの次期Vision製品にも影響が及ぶ可能性がある。市場では、1,000ドル以上の価格設定が難しいという認識が広がっており、特に非プロ向けの製品においては、より手頃な価格が求められている。この状況下で、Appleがどのような価格戦略を採用するかが注目されている。
Appleの「Vision Pro」は、極めて高性能なヘッドセットであることから、価格が高く設定されることが予想されるが、消費者の間では1,500ドル以下が現実的な価格として期待されている。Metaの撤退は、この「1,500ドル」という価格ラインを支持する要素の一つとして、Appleの価格設定に影響を与えるだろう。
今後、Appleが高性能でありながらも価格競争力のある新しいVision製品を提供できるかが、業界全体の動向を左右する鍵となる。
高価格帯製品への消費者ニーズの変動
高価格帯の製品市場は、これまでプロフェッショナルやエンタープライズ向けに支えられてきたが、一般消費者層のニーズが変化している。MetaのQuest Proは、その高性能さにもかかわらず、価格面で一般ユーザーには手が届かないと感じられていた。これに対して、500ドル台のQuest 3や300ドル台のQuest 3Sなど、より手頃な価格帯の製品が人気を集めている。
このトレンドは、Appleの次期Vision製品にも波及する可能性が高い。高性能なヘッドセットに高額な値札が付けられていた過去とは異なり、現在の消費者は、コストパフォーマンスを重視し、エンターテインメントやゲーム用途に限定された製品には、より手頃な価格を求めるようになっている。
したがって、今後は価格と性能のバランスが取れた製品が市場での競争力を持つだろう。