Nothing OS 3.0は、Android 15を基盤に大幅な改良が施されたカスタムOSである。特に視覚的なデザインの変化と操作性の向上が目立つが、全てが歓迎されているわけではない。iOSの「Appライブラリ」を模倣した「スマートドロワー」の実装は賛否を呼びそうだ。

ベータ版は現在、Nothing Phone (2a)で公開されており、正式リリースは12月に予定されている。

デザインの刷新と新フォントの採用

Nothing OS 3.0は、Android 15をベースにした大規模なデザイン刷新を特徴としている。従来の「ドットマトリクス」スタイルは大幅に削減され、新たにセリフ体フォントが採用された。このフォントは視認性が高く、全体的に洗練された印象を与えるデザインだが、ドット要素は完全に消えたわけではない。特に指紋センサーによるロック解除時のアニメーションに点が用いられており、細部にこだわりを感じさせる仕上がりだ。

さらに、OS全体のデザインにも多くの変更が加えられている。文字の読みやすさに重点を置きつつも、Nothing独自の個性を失わない工夫が随所に見られる。今回のアップデートで最も目立つのは、無駄を省きながらも洗練されたビジュアルの一貫性であり、これによりユーザー体験が向上することが期待される。

デザインの変更点はユーザーにとって非常に好意的に受け入れられるだろう。一方で、従来の「ドットマトリクス」スタイルに愛着を持つ一部のファンからは意見が分かれる可能性がある。

カスタマイズ性が向上したロックスクリーンとクイック設定

Nothing OS 3.0では、ロックスクリーンとクイック設定のカスタマイズ性が大幅に向上している。特にロックスクリーンの時計表示に関しては、複数のスタイルから選べるようになり、さらにウィジェットの配置にも柔軟性が加わった。時計を最小化し、ウィジェットをより多く配置できる機能はユーザーにとって便利であり、個々のニーズに応じたレイアウトを実現できる。

クイック設定メニューもまた、ユーザーにとって重要な改善点である。タイルのサイズを調整できるようになり、情報量が多いレイアウトや、一目で状況を把握できるレイアウトなど、好みに応じた設定が可能だ。特に、Wi-Fiやモバイルデータのタイルでは、片方のタップでクイックトグル、もう片方で詳細メニューを表示する機能が追加されており、操作の効率性が大幅に向上している。

これらのカスタマイズ機能は、Android全体に広く導入されるべきだという声も多く、Nothingの工夫は業界全体に影響を与える可能性がある。

iOSの「Appライブラリ」を模倣した「スマートドロワー」の是非

Nothing OS 3.0で最も物議を醸しそうなのが、iOSの「Appライブラリ」を模倣した「スマートドロワー」の実装である。これはアプリを自動でカテゴリー分けし、フォルダ化することで利便性を高めることを目的としているが、現状のAndroidユーザーにとっては不要な機能と感じる部分もある。特に、カスタマイズがほとんどできない点や、Androidがすでに持っている予測アプリ表示機能と競合する点が問題視されている。

スマートドロワーの実装は、特定の大きなアイコンをタップするとフォルダが開き、さらに詳細にアクセスできる仕組みだが、この操作は従来のアルファベット順のアプリドロワーよりも迅速ではない。また、すべてのフォルダが自動で設定されるため、ユーザーの自由度が著しく制限されている。

Nothingがこの機能を導入した理由として、iOSユーザーに向けたアピールが考えられるが、この「スマートドロワー」はAndroidユーザーにとっては魅力に乏しいと言わざるを得ない。

ベータ版リリースと今後の展開

Nothing OS 3.0は現在、ベータ版としてNothing Phone (2a)で利用可能であり、12月にはすべてのNothingデバイスに向けて正式リリースが予定されている。ベータ版は主にバグの発見やフィードバックを得るために配布されており、最終的なバージョンに向けて多くの調整が行われる見込みである。

ユーザーからのフィードバック次第では、スマートドロワーのような物議を醸す機能にも修正が加えられる可能性がある。Nothing OS 3.0の正式リリース時には、これらの機能がどのように進化するのか注目が集まる。また、今回のベータテストを経て、Nothingがどれだけユーザーの意見を反映させるかがブランドの信頼性を左右するだろう。

今後のアップデートにより、Nothing OS 3.0はさらに完成度を高め、Android市場での独自性を強化することが期待されている。