iPhone 16の製造コストが公表され、前モデルであるiPhone 15よりもわずかに高くなったことが明らかになった。
TD Cowenのレポートによると、標準モデルの製造コストは約416ドルであり、iPhone 15の395ドルから5%の増加となっている。
この増加は、主にディスプレイとRAMのコスト上昇によるものであるが、それでも販売価格は据え置かれている。

iPhone 16の製造コスト:iPhone 15と比較

最新のiPhone 16の製造コストがTD Cowenによって公表された。標準モデルのiPhone 16の製造コストは416ドルとされており、これはiPhone 15の395ドルから21ドルの増加である。わずか5%のコスト上昇にもかかわらず、販売価格は据え置かれており、Appleのコスト管理の巧みさがうかがえる。

製造コストの上昇は一部のパーツに由来している。例えば、RAMが6GBから8GBに増強されたことで、RAMのコストが9ドルから17ドルへと89%上昇している。また、プロセッサもA16チップからA18チップへと進化し、これにより追加の10ドルがコストに加わっている。これらの技術的進化により、ユーザーはより高性能なデバイスを手にすることができるが、それに伴い製造コストも増加しているのだ。

一方で、いくつかのコンポーネントのコストは減少している。例えば、ディスプレイは以前よりも3ドル安くなっており、Appleはコスト削減のために特定のパーツに対して効率的な供給チェーンを確保していることがわかる。全体的には、iPhone 16はiPhone 15よりも製造コストが上昇しているが、その増加幅は非常に限定的である。

ディスプレイとRAMが最も高価なパーツ

iPhone 16の製造コストの中で、最も高価なパーツはディスプレイとRAMである。TD Cowenのレポートによると、標準モデルにおけるディスプレイのコストは65ドルとされており、製造全体のコストの中で最大の割合を占めている。これに次いで、RAMの価格は89%もの大幅な上昇を見せており、9ドルから17ドルに増加した。

RAMのコスト上昇は、iPhone 16に搭載されたRAMが6GBから8GBに増強されたことによるものだが、これにはAppleのAI技術への対応も含まれている。特に、A18チップとの組み合わせでRAMの効率が最適化されており、これによりiPhone 16は前モデルに比べて大幅に性能が向上している。

ディスプレイについては、価格はやや減少しているが、依然として高価な部品である。これは、OLED技術の発展によりディスプレイの品質が向上した一方で、コスト削減のための供給チェーンが効率化されていることが要因である。これらの主要部品は、iPhone 16の高品質な体験を支えているが、その代償として製造コストに大きく寄与している。

Pro Maxモデルの製造コストはさらに上昇

iPhone 16 Pro Maxは、標準モデルよりもさらに製造コストが高くなっている。TD Cowenの報告によると、iPhone 16 Pro Maxの製造コストはiPhone 15 Pro Maxよりも32ドル高く、全体で80ドルを占めるリアカメラとディスプレイが最も高価なパーツである。この増加の要因には、インフレーションと新たな部品の導入が含まれており、コスト増加の40%がインフレーションによるもので、60%が新技術によるものとされている。

RAMもPro Maxモデルでは大きな影響を与えている。LPDDR5からより高速なLPDDR5Xにアップグレードされたことで、価格が41%上昇し、12ドルから17ドルに増加した。しかし、メモリ容量自体はiPhone 15 Pro Maxと変わらず、8GBのままである。この価格上昇は、より高性能なメモリ技術の導入によるものであり、ユーザーによりスムーズなパフォーマンスを提供するための投資といえる。

このように、iPhone 16 Pro Maxは高機能を追求する中で、製造コストが上昇しているが、Appleは依然として市場価格を維持するという戦略を続けている。

コスト推定値の違い:投資銀行とテクノロジー企業の見解

iPhone 16の製造コストについて、異なる調査機関が異なる見解を示している。TD Cowenによると、標準モデルのコストは416ドルとされているが、NikkeiやFomalhaut Techno Solutionsの推定値とは大きく異なる。Nikkeiは、iPhone 15 Pro Maxのディスプレイのコストを115ドルと見積もっているのに対し、TD Cowenは75ドルと大幅に低く見積もっている。同様に、チップに関してもNikkeiは130ドル、TD Cowenは40ドルと大きな開きがある。

この違いは、各機関の専門分野に起因する可能性が高い。TD Cowenは投資銀行であり、財務的な分析を重視している。一方、Fomalhaut Techno Solutionsは電子機器を分解し、個別の部品をメーカーにまで遡って価格を見積もる技術専門の企業である。このため、部品の価格に対する見解が異なり、全体のコスト推定に差が生じている。

最終的には、こうしたコスト推定の違いはAppleの製造戦略や供給チェーンの効率化によっても影響を受けている可能性が高い。しかし、どの推定値が最も正確かについては、さらなる分析が必要である。