2025年に発売予定の新型OLED iPadにおいて、ディスプレイドライバIC(DDI)の供給元に変化が訪れるかもしれない。これまでSamsung Electronics System LSIが独占的に供給していたが、LX Semiconが新たな候補として浮上している。もし3月までに量産承認を取得すれば、LX Semiconが今年のOLED iPad向けDDIを供給する見込みだ。

DDIはディスプレイのピクセル操作を制御する重要な部品であり、Appleにとっても供給元の選択は製品の品質やコストに影響を与える重要な要素である。一方、LX Semiconにとっては、競争が激化するiPhone市場の中で収益源を広げる貴重なチャンスとなる。SamsungとLX Semicon、どちらがAppleの信頼を勝ち取るのか、その行方が注目される。

Apple製品におけるDDIの重要性と供給元の変化がもたらす影響

ディスプレイドライバIC(DDI)は、薄膜トランジスタ(TFT)を介してピクセル操作を制御するチップであり、OLEDディスプレイの性能を左右する中核的な技術である。

Appleが採用するOLED技術は、鮮やかな発色や省電力性能で市場をリードしているが、その品質維持にはDDIの精度が欠かせない。これまでSamsung Electronics System LSIがこの役割を担ってきたが、LX Semiconが新たに候補として浮上している。

LX Semiconの参入が実現すれば、Appleは複数の供給元から部品を調達できるため、コスト削減や供給リスクの軽減が期待される。一方で、Samsungが持つ技術的優位性が失われる可能性や、競争激化による価格競争が品質に影響を与える懸念もある。Appleにとって、供給元選定は単なる価格交渉ではなく、製品の評価と直結する重要な経営判断といえる。

LX Semiconの競争戦略とiPhone市場での課題

LX Semiconは、これまで主にLG DisplayやBOE向けにDDIを供給してきたが、iPhone用OLED市場では台湾のNovatekとの競争が激化している。特に、LG DisplayがiPhone 16シリーズ以降、Novatekからも部品を調達し始めたことで、LX Semiconの市場占有率は厳しい状況にある。さらに、LG DisplayのiPhone OLED出荷数は増加しているものの、LX Semiconの利益がそれに比例して伸びていない現状が課題だ。

このような中、LX SemiconにとってOLED iPad用DDIの供給は、iPhone市場に依存しない新たな成長機会を意味する。しかし、Appleの品質基準をクリアしつつ、量産承認を早期に得る必要があり、その競争は容易ではない。独自の技術力とサプライチェーン上のポジション強化が鍵を握ると考えられる。

2025年のOLED市場でAppleが果たす役割

2025年におけるOLED市場はさらなる拡大が見込まれ、Apple製品がその中心に位置すると予想される。iPadにおけるOLED採用の拡大は、単にディスプレイの進化を示すだけでなく、供給業者間の競争に拍車をかける要因となっている。特にLX Semiconのような新興勢力が市場に参入することで、価格競争が激化しつつ、技術革新が加速する可能性がある。

また、Appleが新たな供給元を採用することで、他のテクノロジー企業にも同様の動きが広がる可能性がある。これにより、OLED技術の普及が加速し、業界全体の標準が引き上げられることが期待される。一方で、供給元の分散化が品質や価格にどのような影響を与えるのか、Appleの判断が市場全体に与える影響は非常に大きいといえる。

Source:Patently Apple