Appleは、自社開発の通信モデムの展開を加速させています。iPhone 16eに搭載された「C1モデム」は省電力設計を強みとしていますが、次世代の「C2」「C3」モデムでは性能が大幅に向上し、Qualcomm製品を完全に置き換える計画です。

2026年のiPhone 18シリーズには、コードネーム「Ganymede(ガニメデ)」のC2モデムが搭載される見込みで、ミリ波(mmWave)対応や6Gbpsの高速通信が可能になるとされています。さらに2027年には、iPhone 19シリーズ向けに「C3モデム(Prometheus)」が登場予定で、Qualcommを超える性能を持つと予測されています。

Appleの新モデム「C2」「C3」が目指す次世代通信技術とは

Appleは現在、自社開発モデムの強化を進めており、iPhone 18シリーズ向けの「C2モデム」と、iPhone 19シリーズ向けの「C3モデム」の開発に取り組んでいます。

特に「C2モデム(コードネーム:Ganymede)」は、2026年のiPhone 18シリーズで採用される見込みで、ミリ波(mmWave)通信への対応や、6Gbpsの高速通信を可能にする仕様が計画されています。このC2モデムが実用化されれば、現在のQualcomm製モデムと同等の性能に到達することになります。

さらに2027年には「C3モデム(コードネーム:Prometheus)」が登場し、Appleが独自モデムの完成形を目指す重要なマイルストーンとなるようです。このモデムは、AIによる最適化を組み込み、次世代の衛星通信ネットワークとの互換性も視野に入れているとのことです。特に衛星通信機能が強化されれば、山間部や海外旅行時の通信環境が改善される可能性があります。

Appleのモデム開発は、単なるチップの置き換えにとどまらず、スマートフォンの通信技術の未来を左右する大きな取り組みとなりそうです。特に、自社開発による最適化が進めば、iPhoneのバッテリー寿命や接続の安定性が向上し、ユーザー体験が一層強化されることが期待されます。

AppleがWi-Fi・Bluetoothチップを自社開発する理由

Appleは、セルラーモデムだけでなく、Wi-FiやBluetoothを管理するネットワークチップの開発にも乗り出しています。

現在、これらの機能はBroadcomのチップに依存していますが、Appleはこの依存関係を解消し、より自社製ハードウェアと最適化された技術を導入することを目指しています。その一環として、新たに開発されているネットワークチップ「Proxima(プロキシマ)」が、今年後半に発売予定のHomePod miniやApple TVに搭載される見込みです。

「Proxima」は、Wi-Fi 6E規格に対応し、より高速なデータ転送と低遅延な通信を実現すると言われています。さらに、一部のiPhoneモデルにも採用される可能性があり、2026年にはiPadやMacにも展開される予定です。この技術革新が進めば、Apple製品間のワイヤレス通信がよりスムーズになり、デバイス間のシームレスな連携が強化されると考えられます。

この動きは、Appleのエコシステム全体に大きな影響を与えそうです。独自チップを採用することで、バッテリー消費の最適化や接続の安定性向上が期待されます。

また、Wi-Fiルーターのような役割を果たす機能が搭載されれば、Apple製品間で独自のネットワーク環境を構築できる可能性もあります。Appleがネットワーク技術のさらなる最適化を進めることで、デバイスのパフォーマンス向上だけでなく、新たな活用方法が生まれるかもしれません。

AppleモデムはApple Siliconに統合されるのか

Appleは現在、iPhoneやiPad向けのAシリーズチップとMac向けのMシリーズチップを開発していますが、将来的にセルラーモデムをこれらのApple Siliconに統合する構想も進めています。現在のiPhoneでは、Aシリーズチップとは別にQualcomm製モデムが搭載されていますが、Appleは2028年以降にモデムを統合したワンチップ設計を実現する可能性があると報じられています。

モデム統合が実現すれば、チップ間のデータ転送が効率化され、バッテリー消費の削減や発熱の抑制につながる可能性があります。また、Apple独自のハードウェアとソフトウェアの密な統合によって、通信品質の向上や省電力化が期待されます。特に、AIによる最適化が進めば、通信環境に応じた最適なデータ転送が自動調整され、より安定した接続が可能になるかもしれません。

一方で、この統合には技術的なハードルも存在します。セルラーモデムの開発には高度な無線技術が必要であり、Qualcommの長年のノウハウを超える品質を実現するには時間を要するでしょう。

そのため、Appleが2028年以降にモデム統合を目指しているとしても、当初は一部のモデルに限定される可能性があり、完全移行にはさらに数年かかるかもしれません。Appleが目指す「完全自社開発」の未来がどのように実現されるのか、今後の動向が注目されます。

Source:9to5Mac