iPhoneでデジタルIDや運転免許証を使用できる時代が到来した。
Appleは2021年にこの計画を発表し、現在いくつかの州でApple Walletに運転免許証を追加できるようになっている。
この機能により、空港やTSAのチェックポイントでの身分証明がよりスムーズになり、物理的なカードを持ち歩く必要がなくなる。

iPhoneにデジタルIDを追加するメリット

iPhoneにデジタルIDや運転免許証を追加することで、物理的なカードを持ち歩く必要がなくなる。
空港のTSAチェックポイントでは、iPhoneやApple Watchをかざすだけで身分証明が完了するため、手間が大幅に軽減される。これにより、従来のように財布からカードを取り出して提示する手間を省き、よりスムーズな移動が可能となる。

さらに、デジタルIDはプライバシー保護にも優れている。従来のIDカードでは氏名や住所などの個人情報がすべて表示されるが、デジタルIDでは必要な情報のみを提供できる。たとえば、年齢確認が必要な場合には生年月日だけが確認され、他の個人情報は隠されたままとなる。この仕組みにより、セキュリティ面でも大きなメリットがある。

また、デジタルIDの利用は今後、空港以外でも拡大する見込みだ。銀行での本人確認や企業内でのIDチェックなど、さまざまな場面で活用が期待されており、物理的なIDカードの廃止が進む可能性がある。将来的には、デジタルIDが当たり前のように使われる世界が広がるだろう。

Apple Wallet対応の州と今後の展望

Apple Walletに運転免許証や州IDを追加できる州は現在限られているが、今後対応州は増加する見込みである。
2024年9月現在、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ジョージア、ハワイ、メリーランド、オハイオの7州がApple WalletへのデジタルID対応を進めている。Appleは他にも、コネチカット、アイオワ、ケンタッキー、オクラホマ、ユタが今後サポートする予定だと発表している。

これらの州では、Apple WalletにデジタルIDを追加することで、空港のTSAチェックポイントや一部の州内機関で身分証明が可能になる。ただし、全国的なデジタルIDの普及にはまだ時間がかかる見通しであり、州ごとの法整備が課題となっている。一部の州ではすでにデジタルIDの法律が整備されているものの、実際の導入には時間がかかっている。

今後はApple Walletの対応州が増えることが予想されており、また、企業や銀行での利用も拡大していく可能性がある。ユーザーは、自身の州でのデジタルID導入の進捗を確認し、いち早くデジタルIDの恩恵を享受できるよう準備しておくことが重要である。

専用アプリでのデジタルID利用方法

Apple Walletに対応していない州でも、デジタルIDを使用するための専用アプリが提供されている。
たとえば、アリゾナやカリフォルニア、デラウェア、アイオワ、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、オクラホマ、ユタ、バージニアなどの州では、デジタルID専用のモバイルアプリが利用可能である。これらのアプリを使うことで、Apple Walletに対応していない州でも、iPhoneを使ったデジタルIDの利用が可能になる。

アプリの設定は、まずユーザーが自分の電話番号を登録し、物理的なIDの表裏をスキャンすることから始まる。続いて、本人確認のために自撮り写真を撮影し、IDの認証プロセスを完了させる。認証が完了すると、ユーザーはデジタルIDをTSAチェックポイントや年齢確認の際に使用できる。

これにより、デジタルIDは物理的なIDカードと同様の役割を果たし、身分証明をより便利にする。特に、年齢確認を行う際には、必要な情報のみを提示することができ、プライバシーが守られるという利点がある。デジタルIDの利用は今後、ますます広がるだろう。

空港でのデジタルID対応状況

現在、デジタルIDに対応している空港は限定的であるが、今後拡大する見込みである。
TSAのチェックポイントでデジタルIDが使用できる空港は、バルティモア・ワシントン国際空港（BWI）、シカゴ・オヘア国際空港（ORD）、シンシナティ・北ケンタッキー国際空港（CVG）、ダラス・フォートワース国際空港（DFW）などが挙げられる。これらの空港では、TSA PreCheckを利用することで、デジタルIDをかざすだけで身分証明が完了する。

さらに、デンバー国際空港（DEN）やデトロイト・メトロポリタン空港（DTW）、ロサンゼルス国際空港（LAX）、ジョン・F・ケネディ国際空港（JFK）、サンフランシスコ国際空港（SFO）など、多くの主要空港がデジタルIDに対応している。これにより、TSAの待ち時間が短縮され、空港での手続きがよりスムーズになる。

ただし、デジタルIDを利用するためにはTSA PreCheckが必要であり、まだすべての空港で対応しているわけではない。今後、対応空港の拡大が期待されており、デジタルIDが標準となる日はそう遠くないだろう。