最新のiPhone 15にデュアルSIM機能を追加する革新的な改造が話題となっている。この改造は、FPCパッチを使って米国版のeSIM専用iPhone 15に物理SIMスロットを追加するというものだ。複雑な技術を駆使しつつ、従来の改造の枠を超えた実用性と精密さを持つこの手法は、スマートフォン改造の可能性を再び広げている。

FPCパッチを利用したiPhone 15のデュアルSIM化

iPhone 15の米国版では、eSIMに対応しているが、物理的なSIMスロットがない仕様となっている。しかし、この制限を突破し、デュアルSIMを実現するための新たな手法が注目を集めている。それがFPC(フレキシブルプリント回路)パッチを活用した改造である。この方法では、内部にデバッグ用のヘッダーが存在し、それを利用してSIMスロットの信号を引き出し、物理SIMスロットを追加することができる。

この改造は、通常の修理やカスタマイズよりも高度な技術を要するが、スマートフォンの機能を拡張するための新たな可能性を提示している。特に、デュアルSIMを求めるユーザーにとっては、地域制限を乗り越えた柔軟な通信手段を提供するという点で大きな魅力がある。この改造は、現代のスマートフォンが依然として「改造可能」なデバイスであることを示している。

eSIM機能の無効化とSIMスロット追加の詳細

改造の鍵となるのは、eSIM機能の無効化である。このプロセスには、埋め込まれた回路の一部を物理的に切断する作業が含まれる。具体的には、SIMスロットを追加する際、eSIM機能を妨害しないように、CNCミルでケースにカットを施し、埋め込まれたトレースを切り取る。この作業を行うことで、物理的なSIMスロットの信号を通過させることが可能になる。

また、FPCパッチボードを使ってデバッグ用のヘッダーに接続し、これによって外部のSIMスロットを認識させることができる。改造後、iOSはこの新しいSIMスロットを自動的に認識し、デュアルSIMの機能がシームレスに利用できるようになる。こうした技術的な挑戦は、一般ユーザーには敷居が高いものの、成功すれば大きな利便性を提供する。

CNCミルとはんだ付けによる改造の手順

iPhone 15のデュアルSIM化には、精密な作業が求められる。その中心にあるのがCNCミルによるケースの加工である。まず、iPhoneの内部にSIMスロットを設置するためのスペースを確保するため、CNCミルを使ってケースに小さな切り込みを入れる。このプロセスは非常に正確でなければならず、少しでも誤れば内部回路にダメージを与えてしまうリスクがある。

次に、FPCパッチを使ってSIMスロット信号を引き出し、はんだ付けによって接続を確立する。この部分は、電子工作に慣れている者でも慎重に行わなければならないステップである。最後に、カスタマイズされたリチウムイオンバッテリーを装着し、ケース内に追加されたSIMスロットと干渉しないように調整する。こうして、物理的なSIMスロットが正常に機能する環境が整う。

改造後の機能と失うもの

このデュアルSIM改造により、iPhone 15は物理的なSIMスロットを持ち、複数の通信キャリアを同時に利用できるようになる。特に、海外旅行や複数の回線を使い分けたいユーザーにとって、この機能は大きな利便性を提供する。しかし、この改造にはいくつかの欠点も存在する。

まず、改造によりiPhoneの防水機能は完全に失われる。また、eSIM機能も無効化されるため、デュアルSIMを利用する場合は物理的なSIMカードに限定されることになる。さらに、改造を行うことでAppleの保証も無効となる点に注意が必要である。これらのリスクを考慮しても、デュアルSIM化を望むユーザーにとっては魅力的な選択肢である。