Apple Watch Series 10は、その優れたバッテリー寿命でユーザーの期待を上回る性能を発揮している。

日常的な使用で30〜36時間の稼働時間を実現し、フィットネスや睡眠トラッキングにも対応している点が評価されている。

しかし、iFixitによる分解調査では、バッテリーの交換や修理が非常に困難であることが判明した。

Apple Watch Series 10の驚異的なバッテリー寿命

Apple Watch Series 10は、驚異的なバッテリー寿命を誇るデバイスである。Appleの公式発表では、従来モデルと同様に約18時間のバッテリー稼働時間が予想されていたが、実際の使用状況ではその予想を大きく上回る結果が報告されている。一般的な日常使用では、Apple Watch Series 10は30〜36時間という長時間のバッテリー稼働が可能であることが確認された。

この優れたバッテリー性能の理由として挙げられるのは、ディスプレイの「常時表示」機能をオフにすることによる省電力効果である。加えて、Appleはシリーズ10でさらに充電速度の向上を実現しており、ユーザーがバッテリー残量を気にせずに使える環境を整えている。特にフィットネストラッキングや睡眠トラッキングを行うユーザーにとって、1回の充電でこれだけの時間が持つことは大きな利便性を提供している。

とはいえ、この優れたバッテリー寿命があるからこそ、将来的にバッテリー交換を考慮しなければならない場面も出てくるだろう。

iFixitの分解レポートが示す修理の難しさ

iFixitの分解レポートによれば、Apple Watch Series 10は修理が非常に困難なデバイスであるとされている。特にバッテリーの交換作業は非常に難易度が高く、従来のモデルと比較しても作業が煩雑化している点が指摘されている。ディスプレイ部分は大量の接着剤で固定されており、これを取り外す作業だけでも高度な技術を要する。

加えて、バッテリー自体もフレームに強力な接着剤で固定されており、iPhoneシリーズに採用された「電動接着剤」のような技術は使われていない。そのため、バッテリーを取り出す際には極めて慎重な作業が必要となる。さらに、バッテリーの下部には重要なセンサー類が配置されており、これらにダメージを与えずに修理することは、一般ユーザーにはほぼ不可能である。

このような構造上の問題から、Apple Watch Series 10は修理業者やAppleの公式サポートを頼らざるを得ないデバイスとなっている。

自分で修理するのは困難?Appleでのバッテリー交換が唯一の選択肢

Apple Watch Series 10を自分で修理することは、ほとんどのユーザーにとって現実的な選択肢ではない。iFixitの修理難易度スコアは10点中わずか3点であり、これはApple Watchの内部構造が非常に複雑であることを示している。特にバッテリー交換は、接着剤で強固に固定されたディスプレイを慎重に外し、その後さらに内部のパーツを取り外す必要がある。

多くのユーザーにとって、これらの工程は専門的な知識と技術を必要とするため、自分で修理するのはリスクが大きい。実際、Appleは自社製品の修理キットを提供しているものの、それでも成功率は高くないとされている。このため、バッテリー交換を含む修理を検討する際には、Appleの公式サービスに依頼するのが最も現実的な選択肢となる。

さらに、Appleの公式サポートを利用した場合でも、修理に時間がかかることが予想される。特に、バッテリー交換後の再組立には高い技術力が求められるため、専門の技術者が慎重に作業を進める必要がある。

今後のバッテリー交換に関する課題とAppleの対応

Apple Watch Series 10の優れたバッテリー寿命を考えると、すぐにバッテリー交換が必要になる状況は想定しづらい。しかし、バッテリー寿命が低下するタイミングはいつか訪れる。特に、Apple Watchを長期間使用するユーザーにとって、2〜3年後にはバッテリー交換が現実的な問題となるだろう。

このとき、Appleがどのようにユーザーに対応するかが重要である。バッテリー交換のための手順が複雑である現状では、Appleの修理サービスが頼みの綱となるが、修理のコストや待ち時間がユーザーにとっての負担となる可能性がある。また、Appleが今後のモデルで修理のしやすさを改善するかどうかも注目される。

現在の技術進歩の中で、Appleが修理可能なデバイスの設計にどの程度取り組むのかは不明であるが、ユーザーが自分のデバイスを長く使い続けられるよう、修理環境の整備が求められている。