AppleのAirDropに対抗するGoogleのデータ転送機能「Quick Share」が、iPhoneやmacOS向けに導入される可能性が浮上している。2011年からAirDropはAppleユーザーに愛用されてきたが、GoogleはQuick ShareをAndroidに続き、WindowsやChromeOS向けに展開。
最近のGitHubやNearbyリポジトリ上で発見されたコードコメントから、Appleデバイスに対応する動きが進んでいるとされる。現時点では確定情報ではないが、Windows対応の経緯と同様、iOS向けのアプリや既存サービスへの統合など、Googleがさらなるプラットフォーム拡張を図る可能性がある。
GoogleがQuick ShareのAppleデバイス対応を目指す理由
GoogleのQuick Shareは、AndroidユーザーにとってAirDropに匹敵する便利なデータ転送ツールであり、Androidデバイス間、さらにはWindowsやChromeOSといった異なるプラットフォームでファイルを素早く共有できる点が強みである。
これまではAppleのエコシステムで完結するAirDropのように、Androidユーザーが独自の便利機能として利用してきたが、Googleはその枠を超え、さらなる利用者の拡大を視野に入れているようだ。
特にiPhoneやmacOS対応の可能性が指摘された背景には、GitHub上のQuick Share関連のコードや、Googleエンジニアのコメントがある。これらはAndroid Authorityが報じているが、Appleデバイス対応が実現すれば、異なるOS間でのデータ転送がますます容易になると期待される。
実際、Androidの普及率を考えれば、GoogleがAppleのエコシステムへの進出を目指すことは、シェア拡大や利用者の利便性向上という観点からも自然な流れといえるだろう。ただし、AppleとGoogleの協力体制がどう構築されるかは未知数であり、AirDropに対抗する手法が問われている。
iOSとAndroid間の技術的な壁とその可能性
AndroidとiOSには構造上の違いが多く、ファイル共有機能を実装するには技術的な課題が多い。まず、アプリのアーキテクチャが異なるため、iOSでQuick Shareを導入する場合、既存のGoogle検索サービスなどへの統合や、専用のQuick Shareアプリを開発する必要が出てくると考えられる。
また、画像やドキュメントの転送は可能であっても、アプリそのものやそのデータ転送については制約が多いため、完全な互換性は期待しにくい。
さらに、Googleが提供する機能はオープンソースのため、GitHubやNearbyリポジトリで随時更新されているが、Appleの厳格なエコシステムにどのように適応させるかも課題だろう。とはいえ、Windows版Quick Shareが登場した際のように、Googleの戦略は他社プラットフォームに自社サービスを拡張する姿勢を示しており、Appleユーザーにとってもその利便性は注目されるポイントといえる。
技術的な障害が多い中で、どのような形でApple製品に最適化されるかが今後の注目点である。
Quick Shareの普及がもたらす可能性とAppleへの影響
Quick ShareがAppleデバイスにも対応するとなれば、AirDropに代わる新しい選択肢として、多くのユーザーの関心を引くことが予想される。現在、Quick Shareは30億以上のアクティブなAndroidデバイスで利用可能であり、市場シェアとしても大きな影響力を持っている(Backlinko調査)。
このため、GoogleがApple製品への対応を進めることで、iPhoneとAndroidの垣根が一部解消されるとともに、Appleユーザーが他プラットフォームとファイル共有を行う際の利便性も向上する。
Apple側にもこの動きが影響を与える可能性がある。AirDropはAppleエコシステム内で完結する特徴を活かしてきたが、Quick Shareの導入によって、ファイル転送機能に対するユーザーの期待が高まり、AirDropの進化を促す要因ともなり得るだろう。