2024年の世界スマートフォン市場は、2年連続の減少を乗り越え成長に転じた。市場全体の売上は前年比で最大7%増加し、特に中国メーカーXiaomiが12%の成長を記録し注目を集めている。一方でAppleとSamsungは引き続き市場トップを競い、IDCやCanalysはAppleを首位と評価し、CounterpointはSamsungをリーダーと位置付けた。

成長の要因には、生成AIを搭載した次世代スマートフォンの普及がある。Counterpointは、AI技術が今後の主要テーマとなると指摘し、2028年には250ドル以上のスマートフォンの90%が生成AIを採用すると予測している。折りたたみ式ディスプレイに代わるAI技術への注力が、新たな市場動向として浮上している。

世界市場でXiaomiが示した12%成長の意味

Xiaomiは2024年、前年比12%という大幅な成長を遂げ、世界市場での存在感を一段と高めた。Counterpointの調査によれば、同社の市場シェアは14%に達し、Appleの18%に急接近している。

特に成長を牽引したのは、ヨーロッパや新興市場での価格競争力の高いモデルと、ソフトウェア面での改善が挙げられる。また、同社は新たなAI技術をスマートフォンに積極的に取り入れる戦略を進めており、これが消費者の注目を集めた要因とされる。

この成長は、折りたたみ式スマートフォンの需要低下が続く中、技術革新とコストパフォーマンスの両立が市場で重要な価値となっていることを示している。Xiaomiのようなブランドは、ハイエンド市場だけでなく、ミドルレンジの需要を取り込むことでさらなる飛躍が期待される。これに対し、AppleやSamsungが価格競争にどのように対応するかが、今後の市場シェア争いの焦点となるだろう。

AppleとSamsungが拮抗するトップ争いの裏側

AppleとSamsungは依然としてスマートフォン市場の二大巨頭として君臨しているが、2024年のデータには意外な側面も見られる。IDCとCanalysはAppleを市場の首位と評価した一方で、CounterpointはSamsungをリーダーと位置付けた。このような評価の分かれは、地域別の販売動向やシーズンごとの製品リリースが影響していると考えられる。

Appleは高価格帯モデルの人気とエコシステムの強化により、特に北米やヨーロッパ市場で強い支持を集めている。一方、Samsungは中価格帯からハイエンドモデルまで幅広い選択肢を提供し、アジアや新興市場でのシェアを拡大した。こうした両者の戦略の違いが、同じ市場データでも異なる解釈を生む要因となっている。今後は、生成AIや次世代通信技術の活用が両社の競争にどのような影響を及ぼすかが注目される。

折りたたみ式から生成AIへ市場の注目が移行する背景

2024年のスマートフォン市場では、折りたたみ式ディスプレイから生成AIへの関心の移行が顕著であった。

IDCのリサーチディレクター、アンソニー・スカルセラ氏は、「折りたたみ式スマートフォンの需要は減少している」と指摘し、各メーカーがAI技術を新たな差別化要素として打ち出していると述べた。Counterpointも、2028年までに250ドル以上のスマートフォンの90%が生成AIを搭載するという予測を示している。

AI搭載スマートフォンは、カメラの自動補正や高度な音声認識、個別化されたユーザー体験など、実用的な価値を提供することで消費者を惹きつけている。この流れは、スマートフォンが単なるデバイスから個人のライフスタイルを支えるツールへと進化していることを反映している。一方で、AIの搭載が高価格化を招くリスクもあり、これを克服するための戦略が各メーカーに求められるだろう。