CES 2025で発表されたSparkleの外付けGPU筐体「eGPU Studio-G 850」は、Thunderbolt 5を搭載し、データスループットが120Gbpsに達する次世代インターフェースを実現した革新的な製品である。850Wの電源を搭載し、高性能グラフィックスカードをサポートするなど、プロ向けの設計が際立つ一方で、Apple Siliconを搭載したMacには非対応という課題が浮き彫りになった。

筐体はコンパクトかつ機能的な設計を備え、追加のUSBポートやイーサネットソケットも搭載するなど多用途に対応。しかし、AppleがM1以降のプロセッサでeGPUサポートを終了したため、Macユーザーはこの進化の恩恵を享受できない状況である。公式価格や発売日はまだ未定だが、Thunderbolt 5対応製品の先駆けとして注目を集めている。

Thunderbolt 5がもたらすデータ転送速度の革新とeGPU市場への影響

Thunderbolt 5は最大120Gbpsのデータスループットを実現する次世代インターフェースとして注目を集めている。この技術的進化は、従来のThunderbolt 3規格と比較して約3倍の速度向上を意味し、高解像度の動画編集やリアルタイムレンダリングといったデータ負荷の大きい作業を効率化する。

Sparkleの「eGPU Studio-G 850」は、この技術を初めて搭載した外付けGPU筐体として登場した。CES 2025で発表され、Thunderbolt 5の性能を具体的な製品形態で示した点が評価されている。

この規格の登場により、eGPU市場が再び活気づく可能性がある。特にノートパソコンの性能を補完し、デスクトップ並みのグラフィック性能を求めるプロフェッショナルにとっては、大きな選択肢となり得る。ただし、対応するハードウェアが限られる初期段階では、エコシステムの拡充が課題として残る。データ転送速度の向上が具体的にどのような恩恵をもたらすのか、今後の動向が注視される。


Mac非対応の背景にあるAppleの戦略とその影響

Apple Silicon搭載のMacでeGPUが利用できない理由は、Appleの独自戦略にある。M1以降のプロセッサは、外部GPUサポートを廃止しており、これは自社製グラフィックス性能の最適化と統合性向上を重視した結果と考えられる。これにより、ユーザーがAppleのエコシステム内で完結する体験を得られる一方で、eGPU市場からは事実上締め出される形となった。

これに対して、外部GPUの需要が高いユーザー層からは批判の声も挙がっている。特に高解像度動画の編集や3Dモデリングを行うプロフェッショナルユーザーにとって、eGPUの柔軟性は魅力的な選択肢だったからだ。

Appleのこの方針が市場に与える影響は大きく、eGPUメーカーはMac非対応を前提に設計を進める必要がある。この戦略が長期的にユーザー層の離脱を招くか、それともAppleのプラットフォーム内でさらなる性能向上が実現されるかが注目される。


Studio-G 850の設計が示す次世代のハードウェアトレンド

Sparkleの「eGPU Studio-G 850」は、単なる外付けGPU筐体に留まらない多機能性を備えている。2つのUSB-Cポート、3つのUSB-Aポート、さらにギガビットイーサネットソケットを搭載し、デスクトップ作業環境を大幅に拡張する設計となっている。

筐体サイズは403 x 200 x 237mmと比較的コンパクトでありながら、3スロットブラケットを収容可能なため、高性能GPUを無理なく使用できる点も評価されるポイントである。

これらの設計から読み取れるのは、単一の用途に縛られないハードウェアトレンドだ。特にプロフェッショナル向けの製品においては、性能だけでなく接続性や拡張性が重要視されるようになっている。Thunderbolt 5の採用と併せて、この製品がハードウェア設計の未来を象徴するモデルとなる可能性は否定できない。今後、他メーカーがどのように追随し、競争を加速させるかが興味深い点である。