Appleの中国市場での苦戦が鮮明になっている。2024年のiPhone年間販売台数は17%減少し、2016年以来の最低水準を記録。さらに、第4四半期の出荷台数は前年同期比で25%減少し、VivoやHuaweiに抜かれシェアは第3位に後退した。

この影響は株価にも現れ、1月16日終値は4%下落。12月のピークから12%下がり、投資家の懸念が広がっている。一方、中国市場では手頃な価格と技術革新を武器にした国内メーカーが台頭。2024年はスマートフォン全体の出荷が前年比4%増の2億8500万台となったが、Appleは高級セグメントでの競争力を維持できず、厳しい状況に直面している。

今後、Appleがどのように戦略を見直すか、特に2025年の新製品や決算発表が注目される。

中国メーカーの成長戦略が浮き彫りにしたAppleの課題

中国スマートフォン市場での国内メーカーの成長が目覚ましい。2024年、Vivoは4930万台を出荷し市場シェア17%でトップとなり、Huaweiも37%の年間成長率で4600万台を出荷して第2位に浮上した。これらの企業は折りたたみ式スマートフォンや改良されたOS、高性能カメラなどの技術革新を武器に、市場での地位を確立した。これに対し、Appleの出荷台数は大きく落ち込み、中国市場でのシェアは15%にとどまった。

Huaweiの「HarmonyOS NEXT」やXiaomiの「HyperOS」のような新OSは、高所得層をターゲットにしたアップグレード需要を喚起し、Appleに大きなプレッシャーを与えている。一方、iPhoneの販売は国内ブランドとの価格競争で不利な立場にあり、政府の補助金やプロモーション施策でもその差を埋めることができなかった。

この背景には、Appleがハードウェアとソフトウェアの一体感を強調する戦略を進める中で、中国市場のトレンドに対応する柔軟性を欠いたことがある。

Appleは高級ブランドのイメージを維持しつつも、新たな市場戦略が必要である。中国市場での成長を再び実現するには、現地メーカーが提供する価格競争力やローカル化されたサービスに対抗するためのアプローチが求められるだろう。

AI技術の活用不足が競争力低下を招いた

Appleの競争力低下の背景には、中国市場におけるAI技術の進化への対応不足も指摘される。Canalysのレポートによると、中国メーカーはAIを搭載したカメラやパーソナライズされた操作体験を強化することで、ユーザーの心をつかんでいる。一方で、AppleはiPhoneでのAIの実用化に遅れをとり、特に中国の消費者が重視する分野でのアピール力を欠いた。

さらに、中国ではChatGPTのようなAI技術の使用が規制されている一方、HuaweiやXiaomiがローカル市場に適応したAI機能を積極的に取り入れている。このような状況で、AppleのiPhoneは差別化が難しくなっている。加えて、Appleのエコシステム戦略も、中国ユーザーにとっては他社製品との互換性の低さという弱点として捉えられることがある。

今後、Appleが中国市場での競争力を回復するためには、AI技術の導入に対する積極的な投資が欠かせないだろう。特に、地域ごとのニーズに特化した機能開発を行うことが、再び存在感を示すためのカギとなると考えられる。

株価低迷の影響と今後の鍵を握る戦略

1月16日、Appleの株価は4%下落し、228.26ドルとなった。これは、2024年12月の259ドルというピークから約12%の下落を意味する。この株価の低迷は、中国市場での不振だけでなく、競争の激化や国際的な経済情勢の影響を反映している。著名なアナリストのミンチー・クオ氏は、2025年上半期のiPhone出荷台数がさらに6%減少する可能性があると予測しており、第2四半期には大きな影響が現れると警告している。

一方で、2025年には新型iPhone SE4や超薄型iPhone 17といった製品の投入が計画されており、これらが市場の注目を集める可能性がある。ただし、競争力のある価格設定や国内メーカーへの対抗策が不十分であれば、これらの新製品も一時的な売上増にとどまるリスクがある。

Appleは今後の決算発表で戦略を明確にし、投資家や市場に対する信頼を回復する必要がある。特に、中国市場を中心としたアプローチの見直しや、次世代技術への取り組みが鍵を握るだろう。今後の動向が注目される。