Apple Vision ProとMeta Questシリーズが、新たに**Nvidiaのクラウドゲームサービス「GeForce Now」**に対応しました。これにより、『Cyberpunk 2077』や『Baldur’s Gate 3』など、数千のPCゲームをヘッドセット上でプレイできるようになります。
VRヘッドセットの価値は、ハードウェアの性能だけでなく、プレイ可能なゲームの幅によって大きく変わります。今回のアップデートで、Meta QuestやApple Vision Proの利用範囲が一気に広がったことは間違いありません。ただし、VRゲームではなく、クラウド経由のPCゲームをブラウザ上でプレイする形式のため、完全なVR体験を期待すると少し違うかもしれません。
GeForce Nowは、SteamやEpic Games Storeなどと連携し、所有しているゲームをクラウドでプレイできるサービスです。Meta QuestとApple Vision Proでの動作にはいくつかの制限があるものの、新たな選択肢が増えたことで、ヘッドセットの活用の幅が広がるでしょう。
GeForce Nowによるゲーム対応の仕組みとは?
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Apple Vision ProやMeta QuestがGeForce Nowを通じて数千のゲームをプレイできるようになった背景には、クラウドゲーミングの進化があります。GeForce Nowは、Nvidiaのサーバー上でゲームを処理し、映像をストリーミングする仕組みです。これにより、高性能なPCがなくても、ネット環境さえあれば最新のPCゲームを楽しめます。
この技術の鍵となるのが、低遅延のストリーミング技術と対応デバイスの広がりです。GeForce Nowは、PCやスマートフォンだけでなく、Chromebookや一部のテレビにも対応しています。今回、新たにApple Vision ProとMeta Questが加わったことで、VRヘッドセットをPCゲームのディスプレイとして活用できるようになりました。
ただし、これらのデバイスはVR用ではなく、従来のゲーム機と同じようにブラウザを介してストリーミングするため、本来のVRゲームとは異なる体験になります。
また、快適にプレイするためには、安定したインターネット環境が不可欠です。Nvidiaは4K/60fpsでのプレイには40Mbps以上の通信速度を推奨しており、遅延を抑えるためには5GHz帯のWi-Fiが理想とされています。このため、環境によっては、映像遅延や画質の劣化が発生する可能性がある点には注意が必要です。
Apple Vision ProとMeta Questでのゲーム体験の違い
Apple Vision ProとMeta Questシリーズは、どちらもGeForce Nowに対応しましたが、ゲーム体験には違いがあります。まず、コントローラーの互換性が異なります。Apple Vision ProはXbox OneやXbox Series、DualShock 4といった幅広いコントローラーに対応していますが、Meta QuestはMicrosoft製コントローラーのみに対応しています。このため、手持ちのコントローラー次第では、環境を整える必要があります。
また、ディスプレイの表示方法にも違いがあります。Apple Vision Proは**「空間コンピューティング」**を特徴としており、仮想ディスプレイとしてゲーム画面を配置できます。一方、Meta Questでは、ブラウザを開いてフラットな画面でプレイする形式となります。
これにより、Vision Proのほうが没入感のあるプレイ環境を作りやすいといえるでしょう。ただし、どちらもネイティブVRゲームではなく、PCゲームをクラウド経由で楽しむものなので、VR専用ゲームのような操作感や視覚的な深みはありません。
さらに、価格面でも大きな違いがあります。Apple Vision Proは約3,500ドルと高額ですが、高解像度のディスプレイと高度な処理能力を備えています。一方、Meta Quest 3は500ドル前後で手に入り、手軽にVRやクラウドゲームを楽しめるデバイスです。このため、すでにVision Proを持っている人には新たな活用方法として有益ですが、GeForce Nowを目的にVision Proを購入するにはコストが高すぎるかもしれません。
クラウドゲーミングはVR体験を変えるのか?
今回のGeForce Now対応は、Apple Vision ProやMeta Questの活用方法を広げる一歩ですが、VRゲームの未来を変えるほどのインパクトがあるかは慎重に考える必要があります。現時点では、VR専用タイトルではなく、あくまでPCゲームをストリーミングでプレイする方法に過ぎません。そのため、VRならではの操作性や没入感を期待する人にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、クラウドゲーミング技術が進化すれば、よりリアルなVR体験にも活用される可能性はあります。たとえば、将来的にクラウド経由で高度なVRゲームをストリーミングできるようになれば、高性能なゲーミングPCが不要になるかもしれません。現在のVRゲームは、ハードウェアの性能に依存する部分が大きいため、クラウドの力でその制約が取り払われれば、VRの普及がさらに加速することも考えられます。
一方で、クラウドゲーミングには通信の安定性という課題があります。特にVRゲームでは、一瞬の遅延や画質の劣化が没入感を損なう要因になります。今回のGeForce Now対応が、今後のVR環境にどのような影響を与えるのか、今後の技術進化に注目が集まりそうです。
Source:Tom’s Guide