Appleは独自開発の5Gモデム「C1」をiPhone 16eに搭載し、長年の計画をついに実現しました。これにより、同社はQualcommのSnapdragonモデムへの依存を減らし、デバイスのコスト削減やバッテリー寿命の向上を目指しています。ただし、C1はミリ波(mmWave)信号をサポートしておらず、速度面ではQualcomm製モデムに劣るという制約もあります。
一方で、Appleは次世代5Gモデム「C2」と「C3」の開発を進めており、C2は来年のiPhone 18でミリ波対応モデムとして登場予定です。さらに、2027年にはC3のリリースが計画されており、Appleはこの世代でQualcomm製モデムを完全に凌駕することを目指しているようです。また、将来的には5Gモデムをメインプロセッサと統合する計画も進められており、実現すればさらなる効率化が期待されます。
AppleがC1の発表時にモデムの詳細を強調しなかった理由には、特許問題の回避や、現時点での性能面での劣位を考慮した可能性があると指摘されています。しかし、独自モデム技術の進化により、今後のiPhoneシリーズにどのような変化がもたらされるのか注目が集まっています。
Apple独自の5Gモデム開発の背景 Intel買収から始まった長期戦略

Appleは独自の5Gモデム開発に向けて長年の準備を進めてきました。その重要な転換点の一つが、2019年のIntelのスマートフォン向けモデム事業の買収です。約10億ドルを投じて獲得したこの技術基盤は、Appleのモデム開発に不可欠な要素となりました。当時、AppleはQualcommとの特許紛争を抱えており、外部依存を減らしながら自社開発の通信技術を確立する必要があったのです。
その後、AppleはAシリーズチップやMシリーズチップで培った設計技術を活かし、C1モデムの開発を進めてきました。Intelの技術をベースにしながらも、Apple独自のアプローチが加えられ、エネルギー効率やデバイスとの統合性に重点を置いたモデムが誕生しました。しかし、C1はQualcomm製モデムに比べてミリ波対応がないなどの制約も抱えており、Appleは今後の世代でその差を埋める必要があります。
Appleが独自の5Gモデムを開発することには、技術的な挑戦だけでなく、特許や規格の問題も絡んでいます。既存の5G技術は特許の集合体であり、新規参入者にとっては莫大な知的財産使用料が課せられる場合があります。そのため、AppleがC1の性能を控えめにアピールした背景には、特許問題への配慮があった可能性も考えられます。
次世代C2・C3モデムの開発計画 Appleが目指す完全自社設計の未来
AppleはC1モデムの次に、C2およびC3モデムの開発を進めています。特にC2は、来年登場するiPhone 18に初搭載される予定で、C1にはなかったミリ波対応が実装される見込みです。ミリ波通信は、超高速な5G通信を可能にする重要な技術であり、これが加わることでAppleの独自モデムはより競争力を増すことになります。
さらに、2027年にはC3モデムの登場が予定されており、この世代ではAppleがQualcommのモデムを完全に超えることを目標にしているようです。
AppleはAシリーズやMシリーズチップでプロセッサの性能を飛躍的に向上させてきた実績があり、同様の最適化がCシリーズモデムにも適用される可能性が高いでしょう。バッテリー効率やデバイスとの統合性がさらに進めば、通信性能だけでなく、全体的なユーザー体験の向上にもつながります。
Appleは、将来的に5Gモデムをメインプロセッサと統合する計画も進めています。これはスマートフォンの設計をシンプルにし、省電力化や処理効率の向上を実現する重要なステップとなるでしょう。Gurman氏のレポートでは、この統合が早くても2028年に実現する可能性があるとされていますが、それまでにAppleがどのような技術革新を遂げるのか注目が集まります。
AppleがC1の発表を控えめにした理由とその影響
Appleは通常、新しいプロセッサや通信技術を発表する際には、その性能や特徴を積極的にアピールします。しかし、iPhone 16eに搭載されたC1については、発表時にほとんど言及されませんでした。この理由として、Gurman氏は3つの可能性を指摘しています。
まず、AppleがC1について過度にアピールすると、Qualcommが特許使用料を請求する可能性があった点です。通信技術は多数の特許が絡み合っており、特にAppleのような巨大企業に対しては、特許訴訟が頻繁に行われます。Appleとしては、慎重に立ち回る必要があったのかもしれません。
次に、C1の性能が現行のQualcomm製モデムと比べて劣る可能性がある点です。特に、ミリ波通信に対応していないことは5Gモデムとしての競争力に影響を与えます。このため、Appleは市場の評価を見極めながら、次世代のC2やC3で本格的な競争に挑む狙いがあるのでしょう。
最後に、YouTubeなどのレビュー動画でC1の性能が他のiPhoneと比較されることを避けたかった可能性です。Appleの発表が控えめだったことで、C1を搭載したiPhone 16eとQualcomm製モデムを搭載したiPhone 16の性能差を比較する動画が拡散するリスクが減り、Appleとしてはブランドイメージを維持しやすくなったと考えられます。
Source:PhoneArena