QualcommのCEOであるクリスティアーノ・アモン氏は、Appleの独自5Gモデム「C1」に対して脅威を感じていないと発言しました。同氏は、Qualcommの最新モデム「Snapdragon X85」がAIによる信号最適化や最大12.5Gbpsの高速通信を可能にすることで、Apple製品との差別化を図れると主張しています。

さらに、アモン氏はQualcommのモデム技術が今後も市場において重要な役割を果たすと確信しており、特にAndroid端末メーカーにとっては不可欠な存在であり続けると強調しました。一方で、Appleも「C2」モデムの開発を進めており、今後の競争がさらに激化する可能性もあります。

Snapdragon X85が生む大きな性能差とは 具体的な技術を解説

Qualcommの最新5Gモデム「Snapdragon X85」は、従来モデルと比べて大幅な性能向上を果たしています。その中でも特に注目されているのが、AIを活用した通信の最適化と、下り最大12.5Gbpsという高速通信能力です。AIによる信号処理技術は、電波の弱い環境でも安定した接続を可能にし、トンネルや建物の中でもスムーズな通信を維持できるとされています。

また、Snapdragon X85は最新の通信技術に対応しており、複数の周波数帯を同時に利用する「キャリアアグリゲーション」機能も強化されています。これにより、データ転送速度が向上するだけでなく、接続の安定性も高まります。AppleのC1モデムとの比較では、特に高速通信時の処理能力において大きな違いが出る可能性があると言われています。

一方で、バッテリー消費の最適化についてはまだ未知数な部分もあります。AppleのC1モデムはTSMCの4nmおよび7nmプロセス技術を活用し、省電力性能に優れているとされています。そのため、Snapdragon X85がどこまでバッテリー効率を最適化できるのかが、今後の評価ポイントとなるでしょう。

Qualcomm CEOの発言が示す市場の変化 モデム技術の競争が激化

Qualcommのクリスティアーノ・アモンCEOは、AppleのC1モデムを脅威とは考えていないと明言しました。これは、Qualcommが長年培ってきたモデム技術の優位性に自信を持っていることを示しています。実際、Snapdragon X85はAIを活用した通信最適化や、Android端末向けの広範な対応力を強みとしており、Appleとは異なる方向性で技術を発展させています。

しかし、Appleも独自のモデム技術を強化し続けており、すでに次世代モデム「C2」の開発を進めているとされています。これにより、QualcommのモデムとAppleのモデムの性能差は、今後徐々に縮まる可能性があります。特に、Appleがハードウェアとソフトウェアを統合する強みを活かし、バッテリー寿命やデバイス全体の最適化を進めることで、ユーザーの評価が分かれる可能性も考えられます。

Qualcommは、2027年にApple向けの5Gモデム供給を終了する予定ですが、それまでの間にSnapdragon X85の市場評価がどう変わるのかが注目されます。AndroidメーカーにとってQualcommの技術は今後も不可欠と考えられる一方で、Appleがモデム開発を加速させることで、スマートフォン業界全体のモデム競争が激しさを増していくことは間違いないでしょう。

Source:Wccftech