Appleは、Vision Pro向けの新OS「visionOS 2」を一般公開した。今回のアップデートでは、トラベルモードやゲストユーザー機能など、多くの新機能が追加されている。特に、移動中のプライベートな作業や共有機能が強化されており、ユーザー体験が大幅に向上した。
Apple Vision Proの進化とvisionOS 2の新機能
Appleは、今年発表されたVision Proに搭載される新しいオペレーティングシステム「visionOS 2」を公開した。この最新アップデートは、M2チップとR1チップという強力なハードウェア構成を活かし、よりインタラクティブでスムーズなユーザー体験を提供することを目指している。Vision Proはその高性能な処理能力を用いて、リアルタイムの操作性と空間認識を可能にするデバイスだが、visionOS 2ではその強みをさらに拡張している。
今回のアップデートで注目すべき点の一つは、写真アプリの進化である。過去の思い出をボタン一つで立体的な写真に変換できる機能や、FaceTimeを通じて他のVision Proユーザーと写真を共有できる機能が追加された。また、動画編集の際にトリミング機能も強化され、ホームビューやアプリのカスタマイズ機能が改良されたことで、より個人に最適化された体験が可能になった。
visionOS 2は単なるマイナーアップデートではなく、Vision Proの性能を引き出し、新たな体験を提供するための重要な進化である。
トラベルモード:移動中のマルチタスクを強化
visionOS 2の目玉機能の一つに「トラベルモード」がある。この機能は、電車や飛行機といった移動中でも、快適に作業やエンターテイメントを楽しむために設計されている。トラベルモードを有効にすると、周囲の視覚情報を抑えつつ、ユーザーが複数のアプリケーションを同時に使用できるようになる。
移動時間が長い通勤者や、ビジネストラベラーにとって、この機能は大いに役立つだろう。トラベルモードでは、例えばメールの確認やビデオ会議、さらには映画やテレビ番組の視聴を同時に行える。すべてが目の前の仮想空間でシームレスに実行され、物理的な空間に縛られることなく、効率的に作業を進められる。
これにより、従来のデバイスでは難しかった、移動中のマルチタスクが現実のものとなり、より生産的な時間の使い方が可能となる。
ゲストユーザー機能でスムーズな利用体験
visionOS 2は「ゲストユーザー機能」という新しい機能を導入し、複数のユーザーが簡単にApple Vision Proを共有できるようにしている。この機能では、最近利用したゲストの目と手のデータを最大30日間保存することで、再度利用する際の設定が省略され、スムーズに利用が開始できる仕組みとなっている。
例えば、家族や友人が一時的にVision Proを利用した場合でも、次回使用時には新たに初期設定を行う必要がなく、迅速に自分の体験を再開できる。また、ゲスト用のアカウントにアクセスすることで、個々のユーザーのプライバシーが確保される点も安心材料だ。
この機能により、Apple Vision Proが個人用デバイスでありながらも、家族や友人との共有が容易になり、デバイスの利便性が一層高まっている。
その他の主要アップデートと改良点
visionOS 2には他にも、多数の改良点が盛り込まれている。たとえば、Safariではウェブブラウジングの体験が大幅に向上し、YouTubeやNetflixのような動画サイトを巨大な仮想スクリーンで楽しむことができる。また、Siriを使ってSafari内のコンテンツを読み上げる機能や、タブを固定して素早くアクセスできる機能も追加されている。
さらに、写真アプリでは新しい「コレクション」機能が搭載され、お気に入りの瞬間を整理して表示できる。環境設定には新たにビーチのシーンが追加され、より多様なリラクゼーション体験が可能となった。また、プライバシー機能も強化され、センシティブな写真やビデオが自動でぼかされる設定が導入された。
これらの改良により、visionOS 2はよりパーソナライズされ、効率的でありながら、ユーザーの安全性も重視したアップデートとなっている。