Appleは、同社の拡張現実ヘッドセット「Apple Vision Pro」に対応する最新OS、visionOS 2を正式にリリースした。このアップデートは、写真やビデオの強化、新しいジェスチャー操作、そして「Persona」と呼ばれるユーザーのアバター機能の大幅な改善を含む。さらに、ユーザーインターフェースやアプリの操作性も向上しており、Apple Vision Proユーザーにとってより快適な体験を提供している。

visionOS 2とは？— Apple Vision Proに大規模アップデート

Appleは、visionOS 2をリリースし、同社の拡張現実ヘッドセット「Apple Vision Pro」に大幅なアップデートを提供した。このバージョンは、写真やビデオ機能の改善、ジェスチャー操作の拡充、そして「Persona」と呼ばれるユーザーアバターの機能強化を含む。また、バーチャルMacビューの改善や、新たな環境機能も追加されており、視覚体験が一段と進化している。

このアップデートは、2023年6月のWWDCで発表され、その後数ヶ月間にわたりベータテストが行われた結果、正式にリリースされた。特に、写真やビデオの立体化機能は、視覚的な没入感をさらに高め、ユーザーがよりリアルな3D空間を楽しめるようになっている。これにより、写真の閲覧や編集がより直感的に行えるようになった。

さらに、ジェスチャー機能の強化によって、物理的なコントローラーを使わずに、視線や手の動きで主要な操作が可能になった点も注目である。従来の操作方法に加え、より直感的な操作が求められる現代のニーズに応える形となっている。Apple Vision Proユーザーにとって、今回のアップデートは、日常的な操作性を向上させ、さらにクリエイティブな作業を支援するものとなっている。

写真・ビデオ機能の強化で没入感がさらに向上

visionOS 2では、写真とビデオの機能が大幅に強化されている。ユーザーは、ライブラリ内の写真を立体写真に変換できるようになり、視覚的な深みを加えることで、よりリアルなステレオスコピック効果を楽しむことができる。この新機能は、特に風景写真やパノラマ撮影において、その効果を発揮する。また、写真アプリ自体もアップデートされており、コレクションの管理がより容易になり、立体写真の検索も迅速に行えるようになっている。

さらに、FaceTime通話中にSharePlay機能を使って、他のユーザーと写真やビデオ、パノラマ画像を共有することが可能だ。この機能により、リアルタイムでの共同体験が可能になり、家族や友人との距離感を感じさせない新しいコミュニケーション手段となっている。ビデオ編集機能も強化されており、ライブラリ内の動画をヘッドセットを装着した状態で直接編集することができる。

また、Final Cut Proを使った立体映像の制作や編集がサポートされ、完成した作品をApple Vision Proで楽しむことができる。このクリエイティブな新機能は、プロフェッショナルやアマチュア映像制作者にとって、大きな可能性を提供するものである。

ジェスチャー機能とユーザーインターフェースの改善

visionOS 2では、Apple Vision Proユーザーがより自然に操作できるよう、ジェスチャー機能が大幅に改善された。特に注目すべきは、新しいジェスチャーにより、物理的なボタンを使わずにホームビューやコントロールセンターを開くことができる点である。手のひらを見るだけで主要なメニューが表示され、操作の流れがよりスムーズになった。

ホームビューを開くには、手のひらを見て、表示されるポイントをタップするだけでよい。また、手のひらをひっくり返すと、時間やバッテリー残量が表示され、そこからコントロールセンターを開くことができる。このような操作の改善により、ユーザーは視線や簡単なジェスチャーだけで多くの操作を行えるため、従来の物理ボタンに頼らずに快適にデバイスを使用できる。

さらに、ホームビューのアイコン配置も自由にカスタマイズ可能になったため、ユーザーは自分好みのインターフェースを作り上げることができる。また、Apple MusicやSafariなどのアプリもジェスチャー操作に対応しており、コンテンツをより直感的に管理できるようになった。これにより、Apple Vision Proは単なるデバイスを超えて、個々のユーザーに最適化された体験を提供するプラットフォームへと進化している。

Persona機能の進化とその他の新機能

visionOS 2では、「Persona」と呼ばれるアバター機能も大幅に改善されている。この機能は、ユーザーのスキャン結果を基にアバターを生成し、ビデオ通話やFaceTimeで自分の分身として使用できるものである。新バージョンでは、肌の色や衣服のテクスチャをより正確に再現できるようになっており、よりリアルな表現が可能となった。

加えて、手のジェスチャーや表情の動きも繊細に反映されるようになり、通話中のアバターがより自然な動作を行うようになった。ユーザーは、背景も自由にカスタマイズでき、会話の場に応じたバーチャル背景を選ぶことができるため、より没入感のあるコミュニケーションが可能となる。特に、ビジネスシーンやオンライン会議においては、印象的な演出ができる点が大きな魅力である。

その他の新機能として、クイックルックやMagic Mouseのサポートが追加されている。クイックルック機能を使えば、仮想空間内でオブジェクトを自由に配置し、その材質や配置場所をリアルタイムで変更できる。また、AirPlayレシーバー機能も強化され、iPhoneやiPadの画面をApple Vision Proにミラーリングすることが可能になった。これにより、さらに多彩な利用シーンが広がっている。