iPhoneやiPad向けに人気を博しているNintendo DSエミュレーター「Delta」が、オンラインマルチプレイ機能を追加することが発表された。
この機能により、かつてのDSの名作ゲームがインターネット経由で再び友人や他のプレイヤーと対戦できるようになる。
開発者であるRiley Testutは、リバースエンジニアリングによってNintendoのWFCサーバーを再現し、最新のWiFiネットワークで動作するように改良したと説明している。
Nintendo DSのオンラインプレイ再現、Deltaエミュレーターで実現
Nintendo DSは当初、オンラインプレイでの高い評価を得たハードではなかった。しかし、一部のゲーム、特に「マリオカートDS」などはオンライン対戦で熱いバトルを繰り広げた記憶が残っている。そんなDS時代の思い出が、iPhoneやiPad向けのエミュレーター「Delta」で再び蘇ることになる。
Deltaの開発者であるRiley Testutが、DSのオンラインマルチプレイ機能をエミュレーター上で再現することに成功した。これは、NintendoのかつてのWFCサーバーをリバースエンジニアリングし、現代のWiFi環境で動作するようにした成果である。特に、「マリオカートDS」や「ポケモン ブラック/ホワイト」といったゲームで、その機能が利用可能となる予定で、古いDSゲームをオンラインで再び楽しめるようになる。
Testutは、この新機能をベータテストとしてPatreonのサポーターに向けて先行提供する計画を立てており、一般公開はその後になる見込みである。
オンラインマルチプレイに対応するゲームタイトル
今回のオンラインマルチプレイ対応は、すべてのDSゲームに対してではなく、特定のタイトルに限定されている。中でも注目されるのは、前述の「マリオカートDS」であり、他にも「ポケモン」シリーズの一部タイトルが対象となっている。例えば、「ポケモン ブラック/ホワイト」や「ポケモン不思議のダンジョン」シリーズでは、アイテム交換や対戦機能が復活するという。
エミュレーター上でのオンラインプレイという特性から、WiimmfiやAltWFC、Kaeruなどの3rdパーティーサーバーを利用して、既存のプレイヤーと同じネットワーク上でプレイが可能である。これにより、エミュレーターを使用しているユーザーでも、オリジナルのDSを使用しているプレイヤーと対戦や交換ができる環境が整えられている。Deltaを利用することで、Nintendo DSのオンラインプレイがかつてのように楽しめるという点で、多くのファンにとっては待望のアップデートと言えるだろう。
3rdパーティーサーバーとの互換性と機能強化
Deltaエミュレーターの最大の特徴の一つは、3rdパーティーのDSサーバーとの互換性である。Nintendoは2014年にDSおよびWiiのオンラインサービスを終了しているが、これに代わる形でファンが作成したWiimmfiやAltWFCといったサーバーが、今なおオンライン対戦を支えている。Testutは、これらのサーバーとDeltaエミュレーターを連携させ、現代のインターネット環境でプレイできるように改良を行った。
これにより、ユーザーは現存するすべての非公式サーバー上で、他のプレイヤーと直接対戦することが可能である。また、エミュレーターを利用しているユーザー同士だけでなく、オリジナルのDSを使用しているプレイヤーともマッチングができる点は、エミュレーション技術の進化を感じさせる部分である。この更新により、さらに多くのDSゲームが長く愛され続けることになるだろう。
レトロゲームコミュニティが再生するオンライン体験
レトロゲームコミュニティの力により、失われたはずのDS時代のオンライン体験が現代に蘇る。2014年にNintendoがDSのオンラインサービスを終了して以降、公式のサポートは途絶えたが、レトロゲームファンたちは自らの手でサーバーを構築し、オンラインマルチプレイを維持してきた。今回のDeltaエミュレーターのアップデートは、そのコミュニティの努力と技術力があってこそ実現したものである。
Testutが利用しているサードパーティプログラム「melonDS」は、ファンが作成したDSサーバーとエミュレーターを繋ぐ重要なツールであり、これにより過去のオンライン機能を現代に再現することが可能となった。また、Deltaエミュレーター自体も進化を続けており、法的にはグレーゾーンながらも、手軽にレトロゲームを楽しめる手段として、多くのプレイヤーに支持されている。
このようなコミュニティ主導のプロジェクトにより、Nintendo DSの思い出深いオンライン体験が再び楽しめるようになるのは、まさにレトロゲームファンにとっては朗報である。