Appleの最新ワイヤレスイヤホン「AirPods 4」は、数々の機能を詰め込みながらも、どこまでソニーの「WF-1000XM5」に対抗できるのかが注目されている。特に音質やノイズキャンセリング、デザインにおいて、この二つのモデルは市場で熾烈な競争を繰り広げている。最高の完全ワイヤレスイヤホンを求める消費者にとって、どちらが本当に優れているのかを検証する。

音質とノイズキャンセリング性能の比較

AirPods 4はAppleが提供する最新のH2チップセットを搭載し、空間オーディオや適応型イコライザーを駆使して、臨場感のあるサウンド体験を実現している。特に低音の表現力と、幅広い周波数帯でのクリアな音質が特徴的だ。また、オープンイヤーデザインにもかかわらず、アクティブノイズキャンセリング(ANC)は85%のノイズを除去し、驚くほど静かな環境を作り出す。

一方で、Sony WF-1000XM5は業界トップクラスの音質とノイズキャンセリング性能を誇る。ソニーのV2プロセッサーとダイナミックドライバーXが搭載されており、細やかな音のディテールを再現する能力に優れている。特に高音域での表現力と、ANCが90%ものノイズを除去する点は、AirPods 4を超える。加えて、LDAC対応のBluetooth 5.3により、ハイレゾ音源にも対応しており、音質を重視するユーザーに最適だ。

音質とノイズキャンセリングの両面で、WF-1000XM5が優位に立つ結果となった。

デザインと装着感:どちらが使いやすいか?

AirPods 4のデザインは、従来のAirPodsシリーズから大きな変化はない。オープンイヤーデザインを採用し、長いステムが特徴的だが、耳へのフィット感はあまり強固ではない。軽量かつコンパクトなケースも含め、持ち運びやすさは魅力だが、物理的な強度や耐久性に欠ける点は否めない。IP54規格により防汗性能を備えているが、耳へのしっかりとしたフィット感を重視するユーザーにはやや不向きである。

一方、Sony WF-1000XM5は耳にしっかりとフィットするデザインを追求している。オーバル形状の本体と、同梱のメモリーフォームやシリコンイヤーチップにより、安定した装着感を実現。IPX4の耐水性能も備え、運動時や雨天での使用にも適している。ケースもコンパクトでありながら、質感が高く、全体的なデザインの完成度は高い。

総合的に見ると、WF-1000XM5の方が装着感とデザインの面で優れている。

特殊機能と使い勝手:それぞれの強み

AirPods 4はApple製品との連携力において圧倒的な強みを持つ。「Hey Siri」による音声操作や、iOSデバイスとのワンタップペアリング、Find My機能によるケースの位置追跡機能など、Appleエコシステムに最適化されている。また、自動でデバイスを切り替える機能や、Spatial Audio(空間オーディオ)による没入感のあるサウンドも、Appleならではの魅力だ。

一方、Sony WF-1000XM5も多彩な機能を搭載している。特筆すべきは「Speak-to-Chat」機能で、ユーザーの声を検出して自動的に音楽を一時停止する。さらに、AlexaやGoogleアシスタントと連携したハンズフリー操作が可能であり、Spotify Tapによる簡単な音楽再生も便利だ。複数デバイスとの同時接続機能も備えており、特にビジネスシーンでの使い勝手は高い。

それぞれの強みは異なるが、機能の豊富さでWF-1000XM5が一歩リードしている。

バッテリーと価格のバランス

AirPods 4はバッテリー性能で他のAirPodsシリーズと比べてもやや劣る。ANC使用時の再生時間は最大4時間、ANCをオフにしても5時間程度と、昨今のワイヤレスイヤホン市場では平均的なレベルにとどまる。充電ケースを併用することで、最大30時間の再生が可能だが、急速充電性能も平均的で、5分の充電で1時間の使用が可能という水準である。

一方、Sony WF-1000XM5はバッテリー性能においても優れている。ANC使用時でも最大8時間の連続再生が可能で、充電ケースを併用すれば36時間まで再生可能である。さらに、3分の充電で1時間の再生ができる急速充電性能も備えているため、外出時や忙しい日常でも安心して使える。価格はAirPods 4より高めであるが、その価格差はバッテリー持続時間や全体的な機能の充実度で十分に埋め合わされている。

バッテリー性能と価格のバランスにおいては、WF-1000XM5が優勢である。