iPhoneは高度なセキュリティ機能を備えたデバイスとして知られるが、過信は禁物だ。
肩越しにPINを盗み見られる危険性や、ソフトウェアアップデートの無視が招く脆弱性、さらには悪意あるプロファイルのインストールやフィッシング詐欺など、多くのリスクが潜んでいる。
本記事では、最新iOSのアップデート内容や安全対策の実践例を紹介。Face IDや複雑なPINの利用、プロファイルの管理、二要素認証の強化など、ユーザーが取るべき具体的な行動を掘り下げることで、iPhoneをより堅牢に守る方法を解説する。
iOSアップデートの無視がもたらすリスクとその背景
AppleはiOSの定期的なアップデートを通じてセキュリティ機能の強化を続けている。だが、通知を無視するユーザーも少なくない。特に新機能が目立たない場合、多くのユーザーはアップデートを後回しにする傾向がある。
しかし、これが致命的な結果を招く可能性がある。例えば、ペガサススパイウェアが発見された際、iOS 14.7.1はこの脅威を封じるための重要な修正を含んでいた。このような例からも、アップデートの放置はデバイスを深刻な脆弱性にさらす行為といえる。
一方で、頻繁なアップデート通知がユーザー体験を損なうという声もある。だが、この不便さがセキュリティを守るコストであると認識すべきだ。Appleが提供するパッチには、目に見えない部分で多くのリスクを取り除く技術が詰め込まれている。アップデートの迅速な実施は、デバイスの保護だけでなく、ユーザー自身のデジタルライフ全体の安全を守る基本的な手段となる。
肩越しのぞき見と新たな盗難対策機能の実力
近年、公共の場でPINコードを入力する際に「肩越しにのぞき見」を行う窃盗犯が増えている。この手法は、観察したPINコードを使い、iPhoneを奪取してデバイス内の情報にフルアクセスするものだ。これに対応し、AppleはiOS 17.3で「盗難デバイス保護」を導入した。
この機能により、AppleアカウントのパスワードやFace ID設定の変更に遅延が加わり、さらにFace IDやTouch IDなしでは特定の操作が実行できない仕組みが設けられた。
また、iOS 18.1では一定時間操作されていないデバイスを自動的に再起動し、「初回ロック解除前」の状態に戻す「非アクティビティ再起動」が実装された。この機能は、物理的な窃盗後にデバイスへの不正アクセスを大幅に困難にする。
これらの機能が効果を発揮するには、ユーザー自身が複雑なPINを選択し、公共の場での入力時に慎重さを保つことが求められる。対策を講じることで、こうしたリスクを大きく軽減できる。
構成プロファイルの危険性とそのチェック方法
構成プロファイルは、企業ネットワークやVPNを設定するための便利なツールである。しかし、この機能はサイバー犯罪者によって悪用されるリスクも秘めている。フィッシングメールや偽のウェブサイトを介して、不正なプロファイルをユーザーにインストールさせる手口が報告されている。一度インストールされると、ハッカーがデバイスの設定を操作したり、不要なアプリを密かにインストールすることが可能になる。
これを防ぐためには、信頼できる出所からのみプロファイルをインストールすることが重要だ。さらに、設定アプリ内の「VPNとデバイス管理」セクションでインストール済みのプロファイルを定期的に確認する習慣をつけるべきだ。不審なプロファイルは即座に削除し、リンクをクリックする前にその出所を慎重に検討する必要がある。この簡単なチェックが、個人情報の漏洩やデバイス乗っ取りを防ぐ重要な手段となる。