CIRPの最新調査によると、ホリデーシーズンのプレゼントとしてApple製品の選択に大きな差があることが明らかになった。Apple WatchとiPadが特に人気で、贈り物として選ばれる割合が通常期の数倍に達する一方、iPhoneやMacはその高額さゆえにほとんどギフトにならないという結果が出ている。

この調査では、Appleの主要製品が対象となり、回答者が自身のデバイスをギフトとして受け取った経験を分析した。その結果、Apple Watchは9%、iPadは6%の回答者がホリデーシーズン中に受け取ったと報告し、プレゼントとしての人気が顕著に表れた。一方、iPhoneとMacは他の時期と変わらないほぼ0%に留まる。

この傾向は、価格帯の違いや購入形態が影響していると考えられる。高価なiPhoneやMacよりも、比較的手頃なApple WatchやiPadが贈り物として選ばれるのは理にかなっているだろう。テクノロジー好きの間でこの調査結果が話題を呼ぶのは間違いない。

Apple WatchとiPadが支持される理由 手頃さと用途の広さ

CIRPの調査では、Apple WatchとiPadがホリデーシーズンに特に人気のあるギフトとして浮上したが、その背景には価格帯と用途の多様性があると考えられる。Apple Watchは3万円台から購入でき、健康管理機能や通知管理といった実用的な用途が幅広い層に評価されている。一方、iPadは教育、エンターテインメント、ビジネスといった多方面での活用が可能で、家族や子どもへのプレゼントとしても適している。

また、これらの製品は最新モデルでなくても十分な性能を備えており、セールやアウトレットでさらに手頃な価格で購入できることも魅力だ。この価格と性能のバランスが、「高すぎず安すぎない」贈り物としての人気を支えている。特にCIRPの調査で示されたように、通常期の数倍のギフト需要が生じる背景には、プレゼントとして選びやすい価格帯が関係していると見られる。

ただし、この現象はApple製品の中で際立つが、テクノロジー市場全体での傾向と比較することも重要である。競合他社の類似製品と比べた際の「ブランド価値」がどの程度影響しているのか、今後の調査で明らかになる可能性がある。

iPhoneとMacがギフトとして不人気な要因 購入形態がハードルに

CIRPのレポートによると、iPhoneとMacはホリデーシーズン中も贈り物としてほとんど選ばれない傾向にある。この理由として、購入コストの高さと、それに伴う契約形態が挙げられる。特にiPhoneは、最新モデルの場合、10万円を超える価格が一般的であり、さらにキャリアとの分割払い契約が付随する場合が多い。これにより、単純な贈り物として選びづらい製品となっている。

また、Macに関しては、プレゼントとして渡すには価格が高いだけでなく、使用者のニーズに適合するモデルを選ぶ必要があり、選択の難しさが購入を躊躇させる一因となっている。これらの製品は、ホリデーギフトというよりも個人が自己投資として購入する傾向が強い。

この背景には、Apple製品の「個人専用デバイス」というイメージもあるだろう。スマートフォンやパソコンは、使用者ごとに最適な仕様が異なるため、贈り物としての汎用性が低い。CIRPの調査結果は、Apple製品の中でも贈り物に適したものとそうでないものの明確な分岐を示している。

CIRPレポートが示す消費行動の変化 プレゼント選びの新たな基準

CIRPのレポートは、Apple製品における消費行動の変化を如実に反映している。かつてはブランド力だけで支持を集めていた製品が、近年では価格や用途の明確な基準をもとに評価されている。この傾向は、特にホリデーシーズンの消費において顕著である。

例えば、Apple WatchとiPadの人気は、ただブランドの魅力だけでなく、実際の使用価値が購買動機に直結している点が特徴だ。一方で、iPhoneやMacのような高額製品は、贈り物の範疇を超え、日常使用者自身が性能や価格を熟考して選ぶ製品として位置づけられている。

この動きは、消費者が「一律的なブランド信仰」から「コストパフォーマンス重視」の視点に移行していることを示唆する。今後もApple製品におけるこの分岐が拡大し、ホリデー商戦における戦略の変更が求められるかもしれない。CIRPの調査データは、その指針となる重要な手がかりである。