サムスンがアップルのアプローチを参考に、折りたたみスマートフォンの「折り目」に焦点を当てた技術開発に乗り出している。現在、アップルは折り目部分を薄くする超薄型ガラス(UTG)の採用を検討しており、これにより耐久性の向上を目指している。これを受け、サムスンも同様の技術採用を視野に入れている模様だ。
両社の動きは、スマートフォン市場における耐久性と薄型化の新たな基準を形成する可能性がある。しかし、折り目部分だけを薄く加工するには高度な技術が求められ、その課題を解決するための競争が激化している。中国メーカーの台頭も絡み、次世代折りたたみスマートフォンの覇権争いが本格化してきた。
サムスンが注視するアップルのディスプレイ技術の可能性
サムスンは、アップルが採用を検討している折りたたみディスプレイの技術動向を注視している。その中でも注目されるのが、折り目部分を薄く加工する超薄型ガラス(UTG)の技術である。このアプローチは、耐久性を維持しつつ折り目を目立たなくするものであり、折りたたみスマートフォンの使い勝手を向上させると考えられている。
「The Elec」のサプライチェーン情報筋によれば、アップルはこの技術を採用するためにサプライヤーと協議を進めている段階にある。このディスプレイ技術の鍵を握るのは、カバーガラスの厚さを部分的に変える加工技術であり、折りたたみデバイスの耐久性を新たな次元に引き上げる可能性を秘めている。
ただし、この技術は実現に向けて大きな課題を伴う。厚さを変えることで光の透過率や色再現性が均一でなくなるリスクがあるため、アップルはこれを解決するために充填材を導入する方針を示している。この動きに対し、サムスンも将来的な採用を視野に入れており、両社の技術競争が市場の進化を加速させるとみられる。
技術競争を駆り立てる中国メーカーの影響
折りたたみスマートフォン市場では、中国メーカーの存在感が高まっている。例えば、HonorやXiaomiなどは厚さ4mm台の極薄デバイスを開発し、次々と革新的な製品を発表している。特にHonorの「Magic V3」は、薄型化と耐久性のバランスを実現した例として評価が高い。
こうした状況の中で、サムスンは耐久性と薄型化の両立を目指す戦略を打ち出している。同社の「Galaxy Z Fold Special Edition」は、従来モデルよりも薄型化しつつ、競合製品と差別化を図る設計が特徴だ。しかし、これでも中国メーカーがリードする超薄型モデルには追いついていないのが現状である。
一方で、アップルが折り目部分だけを薄くする技術を成功させれば、さらなる競争が生まれるだろう。この技術が市場で受け入れられれば、他社も同様の技術を採用せざるを得なくなる可能性が高い。中国メーカーの技術革新が市場全体を牽引する中で、アップルとサムスンの競争がどのような影響を与えるかが注目される。
折りたたみスマホの未来を左右する耐久性の追求
折りたたみスマートフォンの普及には、耐久性の向上が不可欠である。特に、ディスプレイの折り目部分はユーザーの満足度を大きく左右する要素だ。この点で、アップルの超薄型ガラス技術は市場の期待を集めている。
ただし、この技術がどの程度の耐久性を提供できるかは未知数である。仮にアップルがこれを成功させた場合、同社の折りたたみスマホは競合製品との差別化要素を持つことになるだろう。特に、光学特性を損なわずに薄型化を実現するには、高度な技術力が求められる。この課題を克服できるかどうかが、製品の成否を分けるといえる。
耐久性の進化は、単なる技術革新だけでなく、ユーザー体験を根本的に変える可能性がある。特に、サムスンがこの技術を採用した場合、同社のGalaxyシリーズが市場で再び主導権を握ることも考えられる。今後の折りたたみスマホ市場は、耐久性と薄型化という2つの軸で新たなステージに突入するだろう。