MacBookのフタを開けたり電源を接続したりするたびに自動で起動するのを煩わしく感じたことはありませんか?Appleはこの仕様を無効にする方法を公式に説明し、サポートドキュメントを公開しました。

ただし、システム設定から簡単に変更できるわけではなく、ターミナルを使用する必要があります。そのため、ある程度の知識が求められるものの、デフォルトの動作を変更したいユーザーにとっては非常に有益な情報となるでしょう。

Appleの発表によると、MacBookの自動起動を防ぐには、以下の手順を実行する必要があります。

ターミナルで変更できる設定とその仕組み

MacBookの自動起動を無効にするためには、ターミナルを使用して「nvram(NVRAM)」の設定を変更する必要があります。NVRAMとは、Macが保持する小さなメモリ領域で、起動時の設定情報などを記憶しています。Appleの公式サポートドキュメントでは、このNVRAMの「BootPreference」変数を変更することで、自動起動の動作をカスタマイズできることが説明されています。

通常、NVRAMに保存された設定はMacの電源が切れても保持されますが、特定のトラブルシューティング手順(例えばPRAM/NVRAMリセット)を実行するとリセットされることがあります。つまり、Macを初期状態に戻したり、特定のキー操作を行ったりすると、設定が元に戻る可能性があるため注意が必要です。

また、ターミナルを使って変更する設定は、Appleが正式に提供しているものとはいえ、誤った操作を行うと予期しない動作を引き起こす場合があります。例えば、NVRAMの他の変数を誤って変更すると、起動プロセスに影響を及ぼす可能性もあるため、正しい手順で設定を行うことが重要です。


なぜAppleは設定アプリに切り替えオプションを用意しないのか

Appleがこの設定を「システム設定」アプリに組み込まず、ターミナルコマンドでの操作を求めている理由について考えると、いくつかの要因が考えられます。

まず、自動起動の機能はユーザーの利便性を高めるために設計されており、Appleとしては多くのユーザーが標準設定のまま使用することを前提としていると考えられます。そのため、一般的なユーザーが誤って設定を変更し、意図しない挙動に戸惑うことを避ける狙いがあるのかもしれません。

また、Appleはシンプルなユーザーエクスペリエンスを重視する企業であり、システム設定に多くのカスタマイズ項目を追加することを慎重に判断している可能性があります。特に、NVRAMの変更はデバイスの根本的な動作を左右するため、簡単にアクセスできるオプションとして提供することに慎重になっていると考えられます。

とはいえ、ユーザーによっては、フタを開けるたびに自動で電源が入る動作が不要と感じる場合もあるため、もう少し簡単な方法で切り替えられる仕組みが提供されると利便性が向上するでしょう。例えば、Macの「電源」設定内にオプションを追加すれば、より多くのユーザーが簡単にカスタマイズできるようになります。


ターミナルを活用したMacのカスタマイズの可能性

今回の自動起動の設定変更のように、ターミナルを利用すれば、macOSの標準設定では変更できない挙動をカスタマイズできます。例えば、ターミナルでは以下のようなカスタマイズが可能です。

  • 起動音の無効化 sudo nvram SystemAudioVolume=%80 これにより、Macを起動する際のチャイム音をオフにできます。
  • スクリーンショットの保存先変更 defaults write com.apple.screencapture location ~/Desktop/Screenshots これを実行すると、スクリーンショットの保存場所を「Screenshots」フォルダに変更できます。
  • Dockの自動表示・非表示の切り替え defaults write com.apple.dock autohide -bool true; killall Dock これを実行すると、マウスポインタをDockの位置に移動させたときのみ表示されるようになります。

このように、Appleが公式に提供するシステム設定以外にも、ターミナルを活用することでMacの動作をより自分好みに調整できます。ただし、誤ったコマンドを入力すると意図しない変更が加わる可能性もあるため、操作の際には十分注意が必要です。

Source:9to5Mac