近年のスマートフォンは、画面全体をシームレスに活用するデザインが求められています。Appleもその流れに沿い、iPhone X以降採用しているノッチをDynamic Islandへと進化させてきました。しかし、完全な「オールスクリーン」デザインには、Face IDのハードウェアが障壁となっていました。
iPhone 17 Pro Maxでは、Dynamic Islandがさらに小型化される見込みです。中国のリーカー情報によると、Appleは「メタレンズ」技術をFace IDに採用し、光学コンポーネントの小型化を実現するとのこと。この技術により、iPhone 17 Pro Maxの画面占有率が向上し、より没入感のある体験が期待されます。
ただし、待望のディスプレイ下埋め込みFace IDの導入は、iPhone 18シリーズ以降に持ち越される可能性が高いとされています。
メタレンズ技術とは?Face IDの小型化を可能にする新技術
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AppleがiPhone 17 Pro Maxで採用を計画している「メタレンズ」技術は、光の屈折や反射を従来とは異なる方法で制御する革新的な光学技術です。これにより、Face IDのセンサー類をこれまでより小型化でき、Dynamic Islandのサイズ縮小につながると考えられています。
メタレンズは、従来のガラスレンズの代わりにナノ構造を活用し、特定の波長の光を最適に制御する仕組みです。この技術は、カメラレンズや光学センサーの性能向上に役立ち、Appleはすでに特許を取得し、研究を進めています。特にFace IDのためのメタレンズ技術は、光をより効率的に取り込み、センサーの配置スペースを削減することが可能になります。
また、メタレンズの活用は、単なる小型化にとどまらず、Face IDの認識精度向上にも寄与するとされています。これまでのレンズでは光の屈折や歪みが生じることがありましたが、メタレンズはこれを最小限に抑え、よりクリアな光学データを取得できる可能性があります。つまり、暗所や角度のある環境でも、より正確な顔認識が実現するかもしれません。
ただし、メタレンズ技術はまだ発展途上であり、大規模な製品への採用には慎重なテストが必要です。そのため、AppleがiPhone 17 Pro Maxでこの技術を初めて導入するとしても、その完成度や実際のユーザー体験については、今後の情報を注視する必要があるでしょう。
ディスプレイ下埋め込みFace IDの実現には何が必要か?
Appleが目指している「完全なオールスクリーンスマートフォン」には、ディスプレイ下にFace IDを埋め込む技術が不可欠です。しかし、この技術の実用化にはまだ解決すべき課題が多く、iPhone 17シリーズでは見送られる見込みです。
ディスプレイ下Face IDを実現するためには、OLEDパネルの下に配置されたセンサーが、ディスプレイを透過した光を正確に認識する必要があります。現在の技術では、ディスプレイの層が光の透過率を低下させ、Face IDの精度が落ちる問題があります。特に、TrueDepthカメラが必要とする赤外線の透過率が低くなると、正確な顔認識が難しくなります。
また、ディスプレイ下カメラ技術自体もまだ成熟していません。Samsungや他のメーカーはすでに一部のスマートフォンでディスプレイ下カメラを採用していますが、画質の劣化や認識精度の低下が課題として指摘されています。Appleはこれらの問題を完全に解決した上で製品化することを優先すると考えられるため、慎重な開発が続いていると推測されます。
一方で、Ross Young氏などのディスプレイアナリストの情報によると、Appleはディスプレイ下Face IDの導入をiPhone 18シリーズ以降に予定しているとのことです。これは、OLEDパネルの改良や新しい光学技術の進展を待つ必要があるためと考えられます。つまり、ユーザーが待ち望む「完全なオールスクリーンiPhone」は、もう少し先の未来の話になりそうです。
iPadや折りたたみデバイスにも広がる新技術の可能性
Appleがメタレンズ技術をiPhone 17 Pro Maxで採用することは、今後の他の製品にも影響を与える可能性があります。特に、iPadシリーズや将来的に登場すると噂される折りたたみiPhoneに、この技術が応用される可能性が指摘されています。
中国のリーカーDigital Chat Stationによると、Appleは今後のiPad Proの新モデルや、初代折りたたみiPadにもメタレンズ技術を導入する計画を進めているとのことです。iPadはiPhoneと異なり、ベゼルの幅が広いためFace IDをディスプレイ下に埋め込む必要性は低いと考えられますが、それでもセンサーの小型化によるデザインの最適化は進められる可能性があります。
一方で、折りたたみiPhoneが登場した場合、Dynamic Islandの有無やFace IDの配置は重要なポイントになります。折りたたみスマートフォンのデザイン上、通常のスマートフォンとは異なる形態のカメラやセンサー配置が求められます。そのため、メタレンズ技術を活用して、折りたたみディスプレイに適した新しい形のFace IDが登場する可能性も考えられます。
また、折りたたみiPadの開発については、折りたたみiPhoneよりも後になるとの予測があり、2027年以降の発売が見込まれています。Appleは、まず折りたたみスマートフォンの市場で技術的な課題をクリアし、その後により大画面のデバイスへ応用を広げる方針を取るかもしれません。
このように、iPhone 17 Pro Maxでのメタレンズ技術の採用は、単なる一機種のアップグレードにとどまらず、Appleの今後の製品戦略にも大きな影響を与える可能性があると言えるでしょう。
Source:BGR