Appleの最新タブレット「M4 iPad Pro」は、その性能の高さで注目されていたが、販売面では苦戦を強いられている。DSCCのレポートによると、当初Appleは年間1000万台の出荷を見込んでいたが、実際の数字は700万台に留まる可能性が高い。高価格が主な要因とされており、特に13インチモデルの売れ行きが鈍化している。
M4 iPad Pro、期待外れの販売実績
Appleが2024年に発表したM4チップ搭載のiPad Proは、初期こそ期待されたものの、現在は販売が大きく落ち込んでいる。5月の発売当初は10インチと13インチモデルのパネル出荷数が合計1000万台に達するとの予測があったが、最新のレポートでは700万台に留まる可能性が指摘されている。これはAppleにとって深刻な下方修正であり、M4 iPad Proが同社の期待を大きく裏切る結果となっている。
特に高価格が需要低迷の一因と見られ、特に13インチモデルの売れ行きが予想を下回っている。13インチモデルの価格は1300ドルから始まり、最も高価なモデルでは2600ドルにも達する。この価格設定が顧客の購買意欲を削いでいることは明らかである。Appleがこれまでタブレット市場で築いてきた高性能・高価格路線が、今回のM4 iPad Proではうまく機能していない可能性がある。
需要の低迷は、今後の製品戦略にも影響を与えるだろう。Appleはこの状況を打開するために、値下げや新しいマーケティング手法を検討する必要があるかもしれない。
高価格が需要低迷の一因に
M4 iPad Proの販売不振の主な原因として、高価格が挙げられる。11インチモデルは999ドル、13インチモデルは1300ドルと、タブレットとしては非常に高額である。この価格はプロフェッショナルユーザー向けに設計されたものであるが、一般消費者には手の届きにくい価格帯であることは明白である。特に、タブレット市場では、より手頃な価格の製品が多く存在し、これがiPad Proの競争力を弱めている要因の一つだ。
さらに、iPad Proには多くの高機能が搭載されているものの、一般ユーザーにとってそれらすべてが必須であるわけではない。カメラ性能やLiDARスキャナーといった先進的な機能は、特定のプロフェッショナルにとっては魅力的かもしれないが、日常的な使用には過剰なスペックである。このため、高機能に見合った価格を支払う価値を感じない消費者が多く、結果として販売不振に繋がっている。
Appleはこれまでにない価格設定を採用したが、それが需要を押し下げた可能性は高い。
iPad Airとの競合、顧客の選択は?
M4 iPad Proの販売が低迷しているもう一つの要因として、同時期に発表されたiPad Air(2024年モデル)との競合がある。iPad Airは11インチと13インチの2つのサイズで展開され、価格は599ドルからと、iPad Proの半額程度で手に入る。性能面でも、iPad Proと大きな違いはなく、多くのユーザーにとってはiPad Airで十分と感じるだろう。
iPad Airは、iPad Proと同様のProMotionディスプレイや優れたカメラ機能を備えているが、価格が抑えられているため、一般消費者には魅力的な選択肢となっている。また、プロフェッショナル用途でなければ、iPad Proが提供するM4チップやLiDARスキャナーの恩恵を十分に感じることは少ない。そのため、多くの消費者がコストパフォーマンスを重視し、iPad Airを選択していると考えられる。
この競合により、iPad Proの販売がさらに厳しい状況に追い込まれていることは否めない。
ホリデーシーズンに期待される価格動向
AppleのM4 iPad Proの販売低迷が続く中、ホリデーシーズンの価格動向に注目が集まっている。通常、Apple自体は製品の大幅な値下げを行わないが、Best BuyやAmazonといったサードパーティの小売業者が、ホリデーシーズンに向けて割引を実施する可能性が高い。特に、この時期は消費者が購買意欲を高める季節であり、適切な価格設定が需要を喚起する鍵となるだろう。
一方で、Appleが公式に価格を見直す可能性も排除できない。競争が激化しているタブレット市場で、iPad Proの高価格戦略が機能していない状況下では、Appleが一時的に価格を引き下げて、売れ行きを回復させる試みを行う可能性がある。実際、すでにオンラインでは価格引き下げを期待する声が上がっており、消費者がどの程度の値引きを受けられるかが焦点となっている。
今後数週間で、どの程度の割引が実施されるかが、iPad Proの年末商戦の行方を大きく左右するだろう。