Apple Watchを使いこなしているつもりでも、実はあまり活用されていない便利な機能がいくつかあります。Appleのフィットネステクノロジー担当バイスプレジデント、ジェイ・ブラニック氏によると、多くのユーザーが知らないまま見過ごしている機能があり、これらを活用すればApple Watchの利便性がさらに向上するとのことです。
Apple Watchは発売から10年を迎え、シリーズ10の登場により機能も大幅に進化しました。特にフィットネス関連の機能は、アスリートだけでなく日常生活での健康管理にも役立つ設計がされています。それでも、ブラニック氏は「意外と使われていないが、ぜひ試してほしい機能がある」と語ります。本記事では、その中でも特に役立つ3つの機能を紹介します。
ワークアウトの負荷評価通知がもたらす新たなトレーニング体験
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Apple Watchの「ワークアウトの負荷評価通知」は、運動終了時にトレーニングの負荷を自己評価できる機能です。GarminやPolarといったスポーツウォッチでは一般的な機能ですが、Apple Watchの強みは一般ユーザーでも直感的に扱えることにあります。運動が終わると「軽い」「適度」「きつい」などの評価を求められ、記録することで自身の運動強度を把握できるのが特徴です。
この機能を活用すれば、無理のない範囲で継続的に運動を続ける手助けになります。たとえば、ランニングや筋トレ後に自分の体感強度を記録することで、過去の運動履歴と比較しながら適切な強度調整が可能です。また、Appleのヘルスケアアプリと連携することで、体調や睡眠データと照らし合わせながら、どの程度の運動が最適かを判断しやすくなります。
一方で、多くのユーザーはワークアウト終了後にすぐに次の作業へ移るため、この通知を見逃してしまうことがあるようです。しかし、トレーニングの質を高める上で負荷評価は非常に有用です。たとえ毎回記録しなくても、週に数回でも記録を残すことで、自身の運動傾向を把握しやすくなるでしょう。
アクティビティ共有はモチベーション維持に最適なツール
Apple Watchの「アクティビティ共有」機能は、他のApple Watchユーザーと運動データを共有し、相互に刺激を与え合うための仕組みです。友人や家族と活動記録を共有すると、「○○さんがリングを閉じました」といった通知が届き、お互いに運動への意識を高めることができます。これは特に、運動を継続するモチベーションを維持する上で効果的です。
この機能のメリットは、ジム仲間やランニングパートナーがいない場合でも、デジタル上で運動習慣をサポートし合える点にあります。特に、リモートワークが普及した現在では、オフィスで同僚と雑談しながら活動量を意識する機会が減っているため、こうしたデジタルなつながりが新たなモチベーションの源になることもあります。
ブラニック氏も「毎朝5時にワークアウトする友人とデータを共有しており、運動の習慣化に役立っている」と語っています。彼が共有している相手は2時間30分でマラソンを走るトップレベルのアスリートですが、それでも競争心を持つことで運動を継続しやすくなったと言います。
とはいえ、全てのユーザーが競争を求めているわけではありません。アクティビティ共有は強制ではなく、親しい友人や家族と適度なペースで共有することがポイントです。無理に競争するのではなく、励まし合いながら運動を習慣化できる点こそが、この機能の最大の魅力と言えるでしょう。
フィットネスアプリのカスタマイズで運動スタイルを最適化
Apple Watchの「フィットネスアプリのカスタマイズ機能」は、自身の運動スタイルや目標に合わせて設定を調整できる点が特徴です。Appleはアップデートごとにフィットネス機能を拡張しており、特に最近では目標設定や通知のカスタマイズが細かくできるようになりました。
たとえば、1日の「ムーブゴール」(消費カロリー目標)は、個人のライフスタイルに応じて変更できます。
デフォルトの設定では一定のカロリー消費を目指しますが、デスクワーク中心の人は目標を少し低めに設定することで、達成感を得やすくなります。また、トレーニングの種類によっては「距離」や「時間」ベースで目標を設定できるため、ランナーは距離ベース、筋トレ愛好者は時間ベースでの目標管理が可能です。
さらに、Apple Watchには「スタンドリマインダー」や「心拍数アラート」といった健康管理機能も含まれています。これらの通知は自分のライフスタイルに合わせてオン・オフを切り替えられるため、運動頻度や日常の過ごし方に応じて最適な設定を見つけることが重要です。
ただし、こうしたカスタマイズ機能は設定画面の奥深くにあるため、多くのユーザーが気付かずにデフォルトのまま使い続けているのが現状です。自分に合った最適な設定を見つけることで、Apple Watchをさらに活用できるようになるでしょう。定期的に設定を見直し、シーズンごとに運動目標を調整するのもおすすめです。
Source:TechRadar