Appleは、Apple Silicon搭載のMacBookが蓋を開けたり電源を接続したりすると自動で起動する問題に対処する方法を正式に発表しました。これまでIntel Macでは設定変更で無効化できましたが、Apple Siliconモデルではこのオプションが提供されていませんでした。今回の対応により、ターミナルを使用することでユーザー自身が設定を変更できるようになり、意図しない起動を防ぐことが可能になりました。

Apple Siliconの仕様変更でMacBookの使い勝手はどう変わるのか

Appleが自動起動を制御するオプションを提供したことで、MacBookの使い方にどのような変化が生じるのかが注目されています。これまでApple Silicon搭載MacBookは、蓋を開けたり電源を接続したりすると強制的に起動する仕様でしたが、今回の変更により、ユーザーが自由に設定を調整できるようになりました。

これにより、たとえば外付けモニターとクラムシェルモードで使用する場合の快適さが向上します。従来は、MacBook本体のディスプレイを開けるたびに意図せず電源が入ってしまい、余計な操作が必要になることがありました。しかし、今回のオプションを活用すれば、電源を接続しても起動しない設定にできるため、ユーザーの作業環境に応じたカスタマイズが可能になります。

また、持ち運び時のトラブルも軽減されるでしょう。たとえば、カバンの中で誤って蓋が少し開いてしまっただけでMacBookが起動し、バッテリーを消費してしまうという問題もありました。今回の設定変更により、こうした不意のバッテリー消耗を防ぐことができ、より安心して持ち運べるようになります。Appleがこのような細かい仕様の変更を行ったことで、MacBookの利便性が大きく向上することが期待されます。


Appleがターミナルを活用した設定変更を選んだ理由とは

Appleは、今回の自動起動の無効化オプションをターミナル経由で提供しました。これは、一部のユーザーにとっては敷居が高く感じられる選択ですが、Appleがこの方法を選んだ背景にはいくつかの理由が考えられます。

まず、ターミナルを利用する方法は、システムの深い設定を変更する際にAppleがよく採用する手段です。一般的なシステム設定に含めてしまうと、誤って変更してしまうユーザーが増える可能性があります。

とくに、MacBookの自動起動は本来「素早くデバイスにアクセスできる」ことを目的とした設計のため、Appleとしては基本的には維持したい機能です。そのため、ある程度知識のあるユーザーのみが変更できるように、ターミナルを介した設定方法が採用されたと考えられます。

また、ハードウェアの挙動に関する設定変更は、ソフトウェアのUIから簡単に変更できるものではなく、ファームウェアレベルの調整が必要になるケースもあります。

ターミナル経由での「nvram」コマンドを使用することで、Macの起動プロセスを直接制御できるようになっているため、Appleはこの方法を選択したのでしょう。今後、ユーザーの反応次第では、より簡単なUIベースの設定が追加される可能性もありますが、現時点ではAppleが慎重に提供した機能といえます。


MacBookのカスタマイズ性は今後さらに向上するのか

今回の自動起動制御オプションの追加は、Appleがユーザーのフィードバックに応じてMacBookの機能を柔軟に調整していることを示しています。では、今後MacBookのカスタマイズ性はさらに向上するのでしょうか。

Appleは従来、一貫してシンプルな操作性を重視し、ユーザーがシステムの細かい設定をいじる機会を最小限に抑えてきました。しかし、Apple Siliconの登場以降、特定の機能に関するユーザーの声が反映されることが増えています。

たとえば、MacBookのバッテリー管理機能では、充電を80%で止めるオプションが追加されるなど、より柔軟な設定が可能になりました。こうした流れを見ると、今回の自動起動オプションの追加も、Appleがよりカスタマイズ性を高める方向へ進んでいる兆候と考えられます。

ただし、Appleが従来の「シンプルで直感的な操作」を維持する方針を変えるかどうかは不透明です。現状では、あくまでターミナルを利用した設定にとどまっており、一般ユーザー向けの簡単なUIとして提供されているわけではありません。そのため、今後のmacOSのアップデートでシステム設定の中にこのオプションが追加されるかどうかが、Appleの方向性を見極める重要なポイントとなるでしょう。

Source:XDA