新しいiPhoneでも動作が遅いと感じることはありませんか?アプリの整理や再起動を試しても改善しない場合、意外な原因が隠れているかもしれません。Tom’s Guideの最新レポートによると、多くのユーザーが見落としがちな原因として「低電力モード(Low Power Mode)」の影響が指摘されています。

低電力モードはバッテリーの消費を抑えるための便利な機能ですが、実はiPhoneのパフォーマンスを大幅に低下させる可能性があります。このモードが有効になると、処理能力が制限され、アプリの動作や画面のスクロールが遅くなることがあります。特に最新のiPhone 16 Pro Maxなど高性能なモデルでも、ベンチマークテストで処理速度が半分以下になるという結果が報告されています。

低電力モードは、バッテリー残量が少なくなった際に自動でオンになることもありますが、無意識のうちにオンのまま使い続けているケースも少なくありません。もしiPhoneの動作が遅くなったと感じたら、まず「設定」アプリの「バッテリー」項目をチェックし、低電力モードがオンになっていないか確認してみましょう。

低電力モードがiPhoneのパフォーマンスに与える影響

低電力モードは、バッテリーの消費を抑えるために導入された便利な機能ですが、その一方でiPhoneの処理能力を大幅に制限することがわかっています。Tom’s Guideによるベンチマークテストでは、A18 Proチップを搭載したiPhone 16 Pro Maxのシングルコアスコアが通常時の3532から低電力モード時には1387まで低下し、マルチコアスコアも8733から4232に減少するという結果が報告されています。

この変化は、低電力モードがiPhoneのCPUの動作に制限をかけることによるものです。通常、iPhoneのチップは「高性能コア」と「省電力コア」を使い分けながら動作します。しかし、低電力モードが有効になると、高性能コアの使用が制限され、省電力コアのみが優先的に使われるようになります。そのため、アプリの起動時間が長くなったり、スクロールの滑らかさが損なわれたりすることがあります。

また、低電力モードの影響はゲームや動画編集アプリなど、処理能力を多く必要とするアプリで特に顕著に現れます。例えば、高フレームレートでのゲームプレイが困難になったり、動画のレンダリング時間が大幅に延びたりすることがあります。これらの影響を考えると、低電力モードはバッテリー残量が低いときの一時的な対策として活用し、常時オンにするのは避けたほうが良いでしょう。

低電力モードがバッテリー寿命に与える影響

低電力モードはバッテリー消費を抑える機能ですが、バッテリー寿命そのものを延ばす効果は限定的です。多くの人が「低電力モードを常時オンにすれば、バッテリーが長持ちするのでは?」と考えがちですが、実際にはそう単純ではありません。

iPhoneのバッテリー寿命は、主に充放電の回数とバッテリーの劣化速度によって決まります。低電力モードは一時的に消費電力を抑えるものの、それによってバッテリーの寿命そのものが延びるわけではありません。

むしろ、常に低電力モードをオンにしていると、iPhoneのパフォーマンスが低下し、不要な動作遅延によって余計に長時間使用することになる可能性があります。その結果、結局バッテリーの消耗が変わらない、または逆に増えてしまうことも考えられます。

また、バッテリーを長持ちさせるには、温度管理も重要です。Appleはバッテリーの最適な使用環境として、0℃〜35℃の範囲を推奨しています。極端な低温や高温の環境では、バッテリーの劣化が早まることがあるため、低電力モードの使用とあわせて適切な温度管理を行うことも重要です。

iPhoneのバッテリー寿命を延ばしたい場合は、低電力モードの常用よりも、適切な充電習慣や温度管理を意識するほうが効果的と言えるでしょう。

低電力モードの使い方を見直すべきタイミング

低電力モードは、バッテリーの持ちが不安なときに役立つ機能ですが、適切なタイミングで使わないと、逆に不便な状況を引き起こすことがあります。では、どのような場面で低電力モードをオン・オフするべきなのでしょうか?

まず、低電力モードを活用するべきなのは、長時間の外出時や充電ができない状況にあるときです。例えば、出張や旅行中、モバイルバッテリーを持っていない場合は、低電力モードを使うことでiPhoneの電池を長持ちさせることができます。一方で、自宅や職場など、充電環境が整っている場合は、低電力モードを無理にオンにする必要はありません。

また、低電力モードをオフにするべきタイミングとして、ゲームや動画編集など、高い処理能力を必要とするアプリを使用するときが挙げられます。低電力モードをオンにしたままだと、アプリの動作が遅くなり、快適に使えなくなることがあります。そのため、負荷の高いアプリを使う際は、事前に低電力モードをオフにしておくのが望ましいでしょう。

さらに、iOSのアップデート時も低電力モードをオフにするのがおすすめです。低電力モードが有効のままだと、バックグラウンドでの処理が制限され、アップデートがスムーズに進まない可能性があります。特に大きなアップデートの場合は、低電力モードをオフにしてから実行することで、スムーズに更新を完了させることができます。

このように、低電力モードは便利な機能ではあるものの、常にオンにするのではなく、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。適切なタイミングで低電力モードを活用することで、iPhoneの快適な使用感とバッテリー持続時間のバランスを取ることができるでしょう。

Source:Tom’s Guide